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ご了承下さい。

富士大学公開授業「地域創生論」

「地域創生論」の講義を、地域の皆様に開放します。
講義について
地域の現状と地域創生の取組を理解することを目標とし、開講の主旨から、多くの外部講師の協力を得て授業を展開します。

概要

 
実施日時平成29年4月13日~7月20日(全て木曜日、5月4日の祝日も開講する)
14時10分~15時40分(4時限目)
会場富士大学 5号館1階 階段教室
実施講義回数全15回
15回目はシンポジウムを行う。
対象本学学生2~4年生と一般の方
受講料1回の受講につき300円(資料代として)(予定)
申込み電話またはFAX、電子メール(syomu@fuji-u.ac.jp)で下記係宛てにお申込みください。
「女子学生のためのキャリア形成論」とは申込先が異なりますのでご注意ください。

      ◇富士大学 総務・統括部 総務係
       〒025-8501 岩手県花巻市下根子450-3
       e-mail:syomu@fuji-u.ac.jp
       tel:0198-23-6221
       fax:0198-23-5818

fax、電子メールの場合は、住所・電話番号・氏名を明記し、タイトルを「公開授業(地域創生論)希望」としてください。
部分的に参加を希望される場合は、参加する講義テーマを明記してください。

日程および講義内容

1.「地域創生論」の狙いと我が国農山村地域の歴史
  富士大学長  岡田秀二 
  4/13
2.地域を巡る諸論説               
  富士大学長  岡田秀二
  4/20
3.岩手県の実態と岩手県の「地域創生政策」    
  岩手県政策地域部副部長兼政策推進室長 南 敏幸 
  4/27
4.西和賀町の課題と地域戦略
  岩手県西和賀町長 細井洋行 
  5/4
5.遠野スタイルによるまちづくり       
  岩手県遠野市長  本田敏秋 
  5/11
6.グローバリゼーションとローカリゼーション 
  富士大学大学院 斉藤国雄 
  5/18
7.木質社会が地域の未来を拓く     
  株式会社木村設計A・T社長  木村清且 
  5/25
8.リノベーションまちづくりについて
   ~企業経営力を応用した地域経営~

  株式会社上町家守舎代表取締役  小友康広 
  6/1
9.日本政策金融公庫と地域創生   
  日本政策金融公庫 副総裁  皆川博美 
  6/8
10.言論社会が地域創生に果たす役割     
  NHK盛岡放送局長  田中宏曉    
  6/15
11.農林水産省の地域創生政策(条件不利地域対策)  
  農林水産省 農村振興局 地域振興課長 圓山満久 
  6/22
12.岩泉町の地域振興と地域創生戦略        
  岩泉町長  伊達勝身 
  6/29
13.地域経済の格差と均衡を科学する       
  富士大学副学長 中村良則 
  7/6
14.エネルギー政策と地域再生     
  遠野バイオエナジー株式会社  梶山恵司 
  7/13
15. 『「地域創生」の実現に向けてⅡ』  シンポジウムを行う         
  パネリスト:千葉茂樹岩手県副知事、上田東一花巻市長、神田由紀岩手日報社報道部長
  7/20

講義のようす

  

1.「地域創生論」の狙いと我が国農山村地域の歴史(4/13)

1.「地域創生論」の狙いと我が国農山村地域の歴史
4月13日、岡田学長を講師として数多くの一般市民の方々と本学学生を対象に、平成29年度の「地域創生論」第一回授業が行われました。

テーマは、「『地域創生論』の狙いと我が国農山村地域の歴史」であり、現代における「地域創生」の意義を人口データや政府の政策体系図を駆使して簡潔でありながら説得力のある授業でした。
中央からの視点に立つ「地方創生」ではなく、私たちが生き、生活している具体的な場である「地域」の視点から、主体的に幸せな生活を創造していく「地域創生」の立場に立つことが重要であること、世紀転換点以降政府の地域に対する政策もはっきりと変化していることに注意すべきだということが特に強調され、受講者に対し新たな視点が提供されていました。

授業の後半には政策変化の中身や幸せな生活をめぐって活発な討論が行われました。
中でも現代社会は人間が壊れていく社会だとする岡田学長の鋭い指摘と静かな語りは、受講者全員の胸に深く染み入っていったように思われます。

2.地域を巡る諸論説(4/20)

2.地域を巡る諸論説
4月20日、「地域を巡る諸論説」をテーマとして岡田学長による「地域創生論」第二回目の授業が行われました。

「地域」と「地方創生政策」を巡る様々な論者の意見・論点が要領よく紹介された上で、今日的豊かさを実現した近代化のシステム自体の抜本的転換が必要であり、将来の社会像についての共通のビジョンとして「低炭素循環型社会」を提唱するという岡田学長自身の積極的主張も簡潔に紹介されていきました。
授業時間の後半部分は討論にあてられ、IT化や移住者受入れへの対応、地域衰退の世界史的歴史から学ぶもの、外国人労働力受入れへの視点、CO2削減への対応、小規模CCRCへの取組など様々な論点を巡って、本学学生や市民の方々と学長との間で自由で活発な議論が行われました。

3.岩手県の実態と『地域創生政策』(4/27)

3.岩手県の実態と『地域創生政策』
 4月27日に、「岩手県の実態と『地域創生政策』」をテーマとして岩手県地域部副部長南敏幸氏による第3回目の講義が行われました。

 講義は、2115年の岩手県の人口は何人か?というクイズから始められ、「24万人」という回答に会場からは一様に驚きの声が漏れていました。次いで、岩手県の人口の展望、「ふるさと」振興の展開、岩手県民計画・復興計画の遂行状況が分かりやすく紹介され、岩手県の「ふるさと」振興のためにマンガを活用した子育てサポートや、森林づくり県民税を活用した環境の森整備事業など、岩手県が独自に行っている取組に若者や女性が理解を持ち、積極的に参加すべきことが高い説得力をもって学生に訴えかけられていきました。
講義後半には、岩手県における女性の社会参加を促進するために必要な取組や森林環境整備の現状と問題点(不在村など)を巡って立ち入った議論が展開され、大変有意義な回となりました。

4.西和賀町の課題と地域戦略

4.西和賀町の課題と地域戦略
5月4日、「西和賀町の課題と地域戦略」をテーマに西和賀町長細井洋行氏が第4回講義を行いました。

西和賀町は北東北三県の真ん中に位置し、雪深く人口減少が著しい地域として知られています。
細井氏は町長就任以来、大根の一本漬や西わらびなど西和賀町特産の地域資源活用型の仕事と雇用の創出に取組み、収入増加とともに地域のおばあさんたちが生き生きと仕事に取り組んでいること、インバウンドの増加にも寄与していることなどを具体的で分かりやすく話していきました。
細井氏が特に強調したことは、人間にとっては生きる喜びやいきがいこそが大事であり、そうした価値観を大切にする人々が西和賀町の自然や地域資源を活用し、まちの人々と交流する「拡大コミュニティ」を形成していくということです。先人が守り育ててきた西和賀の自然と暮らしを後世に伝えることこそが地域創生につながるとの氏の考えは深い説得力を持つものでした。

講義後半は西和賀町の雪あかりイベントや錦秋湖マラソンの取組、人口の年齢構成や雇用確保の取り組みなど様々な問題を巡って活発な討論が行われました。

5.遠野スタイルによるまちづくり

5.遠野スタイルによるまちづくり
「遠野スタイルによるまちづくり」と題して、5月11日に遠野市長本田敏秋氏が「地域創生論」第5回目の講義を行いました。

 本田氏は、遠野市の人口(2万8千人)は平成17年の宮守村との合併時点よりも4千人減少しているという現実から話を切り出し、震災からの復興とまちづくりへの取組を通して、いかに遠野市の少子化・高齢化に立ち向かうかについて市政運営の最高責任者としての立場から得た見識を聴講者に語りかけていきました。震災で被災した市役所本庁舎新設に至るまでに遠野市では実に多くの市民協働がなされてきたこと、市役所職員は常に人口推移など具体的な数字を把握し実務にあたるべきこと、雇用確保のために企業の世界戦略に基づく立地拠点の整備を図り、情報化にも対応すべきことなど遠野市のまちづくりの実際の姿が次々と紹介されていき、最後に、市政運営のポイントは、ぼやかず、嘆かず、目の前の現実の課題を解決していくことであり、地方創生とは、実はわれわれ自身が問われているのであり、互いに協力・連携し、地域の魅力づくり、誇りづくりを進めていくことが肝要だとの言葉で講義が締めくくられました。
本田氏の講義は、「遠野物語」を生んだ土地の人らしく、ゆったりとした中にも堂々とし、誇りに満ちたスタイルで進められ、まさに「遠野スタイル」を体現したものでした。講義後半は、雇用創出と釜石など沿岸地域との連携に果たす遠野市の役割、遠野の民俗、文化と現代などを巡って活発な討論が繰り広げられ充実した時間となりました。

6. 「地方消滅」と「地方創生」―グローバリゼーション・ローカリゼーションの視点から考える―

6.「地方消滅」と「地方創生」
5月18日、本学大学院斉藤国男教授が、『「地方消滅」と「地方創生」―グローバリゼーション・ローカリゼーションの視点から考える―』と題する授業を行いました。

斉藤先生の講義のポイントは第一に、「地方創生」は反グローバリズムあるいはローカリゼーションと同じではない。むしろ、地方の人口減少問題に、グローバリゼーションの流れの中で、他地域と協力しながら対応していこうとするものだ。第二に、戦後の日本経済はグローバリゼーションのうねりの中で先進国にキャッチアップしたが、その過程が不十分だったために地方から都市への人口移動も、生産性・賃金キャッチアッププロセスも不十分なままに止まり、ゾンビ状況の農家・企業が増加した。第三は、地方の人口減少問題もグローバリゼーションは今後も続く。真の地方創生に必要なことは、人口減少でも機能する社会・仕組みを作ることであり、①既存企業・農家の再編と活性化、②新規ベンチャー企業・プロジェクトの発掘・育成が必要だ、というものでした。

斉藤教授の講義は極めて明快にして刺激的なものでした。講義後半は農業の多様性と農家の規模拡大・集約化との関係性等、グローバリゼーションの現実の中で地方創生の動きをどのように評価するか、活発な討論がなされ、あっという間に時間が過ぎていきました。

7. 木質社会が地域の未来を拓く-創りあげられてきた物、これから創る物-

7. 木質社会が地域の未来を拓く-創りあげられてきた物、これから創る物-
5月25日、(株)木村設計A・T社長木村清且氏を講師にお迎えして、「木質社会が地域の未来を拓く-創りあげられてきた物、これから創る物-」というテーマの講義が行われました。 木村氏は、約400年前の藩政時代に南部氏が花巻城に移築したとされる大手門から現代の花巻市総合花巻の歴史で見る建造物とその作りや見どころを解説した後、明治・大正期の花巻の街づくり(都市基盤整備)と旧菊池捍邸について紹介。

次いで宮澤賢治の世界観を織り交ぜながら、花巻市で創られてきた有形財、無形財の価値を社会で伝播するための「エコミュージアム構想」を壮大なスケールで語られた。エコミュージアム構想とは①エコロジー(自然)②エコノミー(経済)③エコール(教育)が融合化されたミュージアム(博物館)システムを地域に帰結させ、地域が自立して住民主体で運営を行うシステムのことである。

さらには、エコミュージアム構想を木村氏の専門とする木造新工法CLTを用いて具現化しようとする都市計画について、「シェア金沢」を事例にお話しいただいた。放置してしまえば失われていく都市の記憶をとどめながら、地域の活性化を実現するためには地元に密着した木質社会の実現が鍵であるという内容であった。

木村氏の講義は、花巻市の400年の時の流れを駆け上る時間軸と地理的広がりを意識した空間軸でテンポよく展開し、聴講生の関心を一気に惹きつけるものであった。次の時代の花巻に住む人たちに今の時代の何を残し、何を創るか考えてほしいと問題提起いただいたことが印象に残る講義だった。

8. リノベーションまちづくりについて

8.リノベーションまちづくりについて
6月1日、(株)花巻家守舎代表取締役の小友康広氏を講師にお迎えして、「リノベーションまちづくりについて」というテーマの講義が行われました。 小友氏は、花巻市で113年間木材店を営む小友木材店を先代から引き継ぐために東京から戻ってきた若手経営者でもあります。

小友氏が店を引き継ぐ際に課題としたのが、会社が所有する花巻駅前の不動産ビル。一時は取り壊しも検討するほどの物件だったといいますが、今ではビルの前にコンビニができるほど街の賑わいづくりに貢献するビルとなっています。そこに新たな価値を生み出したのが「リノベーション」というまちの再生手法。既存の建物に費用をかけず、人の手をかけて「新しい事業を展開したいという人を集積し、新しく雇用の場を創る」ことに成功した「家守(やもり)会社」の理念と手法を惜しみなく受講生にお話しいただきました。

特に話題の中心となったのが花巻市の誰もが愛する「マルカンデパート」の再生について。老朽化する建物の再建を受託するに至ったきっかけは再建に目途がついた自社ビルの成功事例と「小さいころにソフトクリームを買いに走った自分にとって大切な場所を守りたい」という気持ちだったといいます。
小友氏は自らの経験も踏まえながら、今の若い人たちが地元で頑張ろうと思うためには「かっこいいと思える大義名分」と「必要十分な報酬」が必要で、地域経営のためには、「行動力」と「経営力(生産性の向上・財の流出抑止と流入向上)」が不可欠、そしてそれらがそろうことによって地域創生(=その地域で暮らす人の幸せの実現や向上)につながるのではないかと本学学生たちに向けて力強くメッセージを残してくださいました。
 
今回の小友氏の講義は、花巻市に住む若手経営者の経営手腕に関心を持たれた方々が多数集まり白熱した質疑応答が行われ、90分という短い時間ではありましたが「もしかしたら自分にも何かできるかもしれない」とチャレンジ精神を駆り立てられる充実した講義となりました。

9.日本政策金融公庫と地域創生

9.日本政策金融公庫と地域創生
6月8日、昨年に引き続いて日本政策金融公庫の皆川博美副総裁を講師にお迎えし、「日本政策金融公庫と地域創生」というテーマで第9回目の地域創生論が行われました。

日本政策金融公庫は、国の政策に基づいた民間金融機関の補完をしながら、社会のニーズに合わせた手法によって政策金融を機動的に実施する金融機関です。
今回、皆川氏には、日本政策金融公庫がリーマンショックや東日本大震災のような経済危機の時期に行った積極融資策や地域の活力減退を阻止するために実施している経済支援策についてお話しいただきました。

俯瞰的に日本の地域課題をとらえながら、その課題に実際に身を投じている皆川氏からは、「地域創生における中心課題は、地域ならではの魅力を再発見し、その地域の魅力の経済価値を高めるアクションをおこすこと」であると明快な説明があり、課題解決策の事例として、青森県の企業が取り組む6次産業や福島県のロボット開発イノベーション、石川県七尾市の「ななお創業応援カルテット」、長野県のワインバレーおよびNAC認定等の事業が示されました。

さらに皆川氏は「課題解決策の中心となるプロモーターの存在、事業を経営化する理念、世界進出を視野にいれた営利構想」が事業成功の鍵とお話しされ、本学学生には、目の前にある課題に漫然と過ごす「ゆでガエル」になるのではなく、「課題意識を持ち、解決策を実践できる人材となってほしい」と力強いメッセージを送って下さいました。

今回の講義では、地域創生の課題はそれぞれの地域特性によるということを学ぶとともに、地域を活性化する多様なチャレンジを実現可能にしている日本政策金融公庫の融資策を知ることができ有意義な機会となり、参加した学生からは「国に頼るにも限界がある。自らが立ち上がることが重要と感じた。地域活性化プログラムを高校で受講した経験からも、若者を巻き込んだ政策を増やしていくことが必要だと感じた。」と感想が寄せられました。

〔参考〕学生向け講義概要
狙い:
日常の生産と生活における事実として、将来展望が描けず、むしろ人口を含め全てがシュリンクする実態がある。
日本中の共通課題として、各々の地域の振興、地域の持続的展開を図る必要がある。
そのためには、現状の問題整理と、グローバル化し金融支配的段階となっている今日的地域振興・地域創生ビジョンを改めて整理し、ビジョンに従う新たな歩みを早急に始めなければならない。
これらは、地域の自主的・独自的問題としても、また政策的問題としても、焦眉の課題である。
講義は、こうした全体構造に対する枠組みを射程に、政策的側面と同時に、地域の実体的側面についても学べるよう、多くの外部講師の協力を得、受講者一人ひとりの課題認識を明確にすることを目的とする。

到達目標:
1. 地域の現状と地域創生の取組を理解し、説明することができる。
2. シンポジウムに参加し、自らの考えをまとめ、発表することができる。

講義方法等:
講義は経済学部3学科(経済学科、経営法学科、経営情報学科)3年生、4年生の選択必修科目(2単位)として開講するが、地域や県内の関心を有する多くの人にも開放し公開する。
また、開講の主旨から、授業時間90分中、実質講義時間は60分ぐらいとし、質疑による理解の醸成を図る時間を30分ぐらいとることとする。