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新着情報

第6回目「地域創生論」は東北森林管理局長の小島孝文氏を講師にお迎えし講義をしていただきました。

授業関係
 5月17日、第6回目の「地域創生論」は東北森林管理局長の小島孝文氏を講師にお迎えし講義をしていただきました。冒頭で小島氏は、2018年2月15日付日経新聞に載った住友林業の全面広告を紹介されました。2041年までに都内に木材を主部材とした地上70階、高さ305メートルの超高層ビルを住友林業が建設するという広告です。このような広告がでるということは、本日のテーマ「木質社会が未来を拓く」がいうように、実際に時代が木質社会に向けて確実に動いていることを示す一例であるとされました。

 講義ではまず、木質社会が時代の要請に応えるものであることが説明されます。木質社会の構築は森林の循環利用を生み出し、地球温暖化対策という公益的機能を持続的に発揮することに貢献し、同時に林業・木材産業を振興させることで地方創生に寄与する。しかも現在、日本の人工林は本格的利用期を迎えている。併せて国内市場には、2020年東京オリンピックのメイン会場である新国立競技場にみられるように、木造建築化の傾向がみられ、木材需要の新たな拡大を生み出す動きが進んでいる。さらには経済界には林業復活・地方創生を後押しする動きがある。豊富な森林資源を有する東北地方には地域資源活用の好機が到来しているのである。

 他方、木質社会の構築に課題がないわけではない。例えば、国産材については生産性の向上は進みながらもまだ道半ばという状況で、安価で供給が安定している輸入材に対抗する競争力をつけるためには、国内林業のインフラ整備、国産材の高付加価値化が必要となる。また本格的な利用期を迎えた森林資源を適切に整備・保全しつつ利用するために、新たな森林管理システムの構築が求められる。

 具体的な資料を用い平易な言葉で語られる小島氏の講義を通し、木質社会の意義、現状と課題、地方創生との関係等につき大きく理解を深めることができました。その後の質疑の時間では、受講者から林業の採算性の低さに対する方策、森林認証制度とその課題、国会に提出された森林経営管理法案の内容等に関する質問が出され、小島氏が丁寧に応答されておられました。

次回5月24日は、株式会社南部美人の久慈浩介社長を講師にお迎えし「日本酒は岩手をここまで元気にする」というテーマで講義をしていただきます。