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第7回「地域創生論」は株式会社南部美人代表取締役社長の久慈浩介氏を講師としてお迎えし講義をしていただきました。

授業関係
 5月24日、公開講座「地域創生論」の第7回目の講義が行われました。今回は株式会社南部美人代表取締役社長の久慈浩介氏を講師としてお迎えし「南部美人の挑戦-小さなまちの酒蔵が世界一になる奇跡-」と題してお話をいただきました。イギリスのロンドンで毎年4月に開催される世界で最も大きな影響力ともつといわれるワイン・コンペ「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」。その日本酒部門で2017年に「チャンピオン・サケ」(第1位)を獲得した「南部美人 特別純米酒」。1902年創業の「南部美人」五代目蔵元で社長の久慈氏に、時代とともに変わりゆく酒造りの世界で、二戸市で伝統を守りながらも新しい挑戦を続ける南部美人の軌跡と“奇跡”を熱く語っていただきました。

 南部美人を世界へという久慈氏の挑戦、そのきっかけは17歳の時のアメリカでの留学時でした。お土産に持参した「南部美人」に、日本酒を初めて飲んだホストファミリーのお父さんは「アメージング」と大絶賛。久慈少年は、日本酒は世界なかで日本にしかないオンリーワンの存在であることを発見するとともに、世界が日本酒を待っていると感じます。帰国後、東京農業大学醸造学科で学び、その後、実家の酒蔵「南部美人」の五代目蔵元に。そして日本酒を世界へという久慈氏の挑戦が始まります。

 志を同じくする蔵元たちと1997年に日本酒輸出協会を設立し、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各地で地道に日本酒セミナーと試飲会を開催。その努力が実を結び、今ではサンフランシスコにアメリカ初の日本酒専門店が開店、パリには日本酒を扱うフレンチレストランが現れ、2014年のサッカーのブラジル・ワールドカップでは「南部美人」が公式日本酒に選ばれます。さらにドバイにある7つ星の最高級ホテル「バージュアルアラブ」では、レストランで飲まれるハウスサケとして南部美人の純米吟醸が採用されるまでにいたりました。

 世界を相手に日本酒を売る。久慈氏は言います。地方の小さな会社でもオンリーワン商品ならば世界で勝負できる。伝統文化や農業など、日本人にとって当たり前のもののなかに世界に通ずる価値がある。変化する時代のなかで現状維持は後退。人口減少、過疎化していく小さなまちの明るい希望になりたい。それが久慈氏の挑戦の原動力であると。

 質疑の時間には、新商品の糖類無添加「梅酒」開発の理由、「ライスワイン」か「サケ」か、「ビューティー・シリーズ」のラベルのデザインについて、創業以来100年以上続く南部美人に家訓があるのか等々、活発な質疑が久慈氏と受講者との間でなされました。

 次回第8回は、「リノベーションまちづくりについて」というテーマで花巻家守舎社長の小友康広氏に講師をお迎えして行われます。