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第8回目「地域創生論」に株式会社花巻家守舎代表取締役の小友康広氏を講師にお迎えしお話をしていただきました。

授業関係
5月31日、第8回目の「地域創生論」に株式会社花巻家守舎代表取締役の小友康広氏を講師にお迎えしお話をしていただきました。テーマは「リノベーションまちづくりについて~企業経営力を応用した地域経営について~」です。

「家守(やもり)」とは聞きなれない言葉ですが、新語ではありません。近世の日本、江戸時代の主に城下町で主人不在の家屋敷を預かり、その管理・維持に携わった管理人のことをいいます。不在中の主人に委嘱され、家屋敷の管理・維持にあたるのが家守でした。江戸時代の「家守」を現代社会の地域再生の課題に対し現代版家守業として蘇らせたのが「家守舎」です。提唱者は東洋大学大学院客員教授で起業家でもある清水義次氏。その手法は「リノベーションまちづくり」と呼ばれています。小友氏いわく、花巻家守舎もその流れをくむものですと。

「リノベーションまちづくり」。それは、特定エリアの遊休不動産を活用し、統一ビジョンを掲げ、それに共感した人が集まり、新しい産業をつくりながらまちをつくるもの。特徴は次の4つ。(1)補助金に頼らない、(2)遊休不動産の活用、(3)顧客の先付け、(4)エリア価値の最大化。敷地に価値なし、エリアに価値あり。

小友氏は花巻市出身の35歳。実家は花巻市にある創業113年の老舗木材店で、小友氏はその四代目。同時に東京と花巻でIT関連などの6つの会社を経営するパラレル経営者でもあります。現在、小友氏のもとでは約650人もの人たちが働いています。

2015年4月1日、小友氏は花巻駅前エリアを「チャレンジする大人が集まるまち」にするべく「花巻家守舎」を起ち上げます。現在、このエリアには30人を超えるチャレンジする大人が集まっています。そうしたなかで起きた2016年6月のマルカンデパート閉店。「リノベーションまちづくり」の手法で何とかできないものか。経営者としての小友氏の新たなチャレンジが始まりました。それがあの「マルカン大食堂の奇跡」へとつながっていきます。

経営は志とソロバン。理想は高く地は足に。加えて小友氏のなかには「革新」と「伝統」の不思議な融合があるように感じます。人格的な魅力と実業家としての実績。小友氏の事業と挑戦のなかには地域創生につながる豊かな発想と確かなヒントがあるように感じました。

質疑の時間には、エリア価値を見出すポイント、マルカンビル再生計画への提案、木材店が実家であることが人格形成に与えた影響の有無、花巻家守舎のロゴマーク等々、様々な質問が出されました。なお、講義終了後、会場限定販売ということで、小友氏持参の書籍『マルカン大食堂の奇跡』や売り上げの一部が大食堂運営費にあてられるコラボ商品等のマルカングッズが販売され、多くの受講者に購入していただきました。

次回6月7日は、日本政策金融公庫副総裁の皆川博美氏を講師にお招きし「日本政策金融公庫と地域創生」というテーマでお話いただきます。