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第6回「地域創生論」岩手県産株式会社いわて銀河プラザの長澤由美子氏を講師に迎えて

授業関係
 新緑の眩しい季節となりました。5月16日、第6回目の「地域創生論」が行われました。今回は岩手県産株式会社いわて銀河プラザの長澤由美子氏を講師にお迎えし、「岩手県産の質を全国化する戦略-岩手から全国へ 『サヴァ缶』の取り組みからみえる事-」というテーマでお話をしていただきました。
2018年は空前のサバ缶ブーム。魚介缶詰市場ではついにサバ缶がツナ缶を抜き第1位に躍り出た。売上は業界全体で250億円を突破。サバ缶ブームを牽引するのが岩手県産株式会社が販売する「サヴァ缶」である。斬新なデザインとお洒落なカラーが印象的な「サヴァ缶」。缶詰め業界の常識を地方から見事にうち破った商品として注目されている。長澤氏は岩手県産株式会社でこの「サヴァ缶」の開発に関わり、現在はその販売の第一線で活躍されている。
地場産品の販路拡大を目的とした第三セクターとして昭和39年に設立された岩手県産株式会社。日本最初の第三セクターの産地問屋である。創立以来50有余年、試行錯誤を重ながら販路拡大を進め、現在取引先は900社以上。全国に仙台営業所、東京支店、名古屋営業所、大阪営業所、福岡営業所の5つの支店、営業所を展開する。こうしたネットワークが岩手県産株式会社の大きな財産であると長澤氏は言う。年間の売上金額は52億円を超える。今日では岩手県を代表する一大ブランドに成長した。
「サヴァ缶」シリーズの第1弾、黄色のラベルの国産サバのオリーブオイル付けが発売されたのは2013年9月。その開発には2011年の東日本大震災が深く関係している。震災で壊滅的な被害を受けた岩手県沿岸メーカーの復興・販売促進をいかにすべきか。最大の苦境が革命的な商品を生み出すための舞台となる。それまでになかった新しい発想の缶詰を作ろう。東の食の会、岩手缶詰株式会社、岩手県産株式会社が協力し、プロデュース、製造、販売というそれぞれの得意分野を活かし商品づくりに挑戦。水産加工品としての缶詰に注目。缶詰は輸出に適しており、東北から世界への販路を築く、日本のどこにもなかった先行事例となる商品を目指そう。高い理想が画期的な商品を生み出すこととなった。岩手県産品の質を全国化する戦略は、商品価値を高めるところにある。
興味の尽きないお話に時間が経つのも忘れてしまうほどである。地場産品というものが地域とどう関わり、それがどれほど大きな広がりをもつものなのか。長澤氏のお話は、そのことに新たな発見と希望を与えるものであった。
次回5月23日は、「陸地環境の代表“森林”が地域を支える」というテーマでアジア航測株式会社の矢部三雄氏を講師にお迎えします。