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第8回「地域創生論」遠野市長の本田敏秋氏を講師に迎えて

授業関係
 5月30日、遠野市長の本田敏秋氏を講師にお迎えして「地域創生論」第8回目の授業が行われました。テーマは「常に時代を先取りする遠野 遠野スタイルによる『子ども・子育て支援』2019」。民話の里として全国的にも有名な遠野市。少子化の中にも近年、出生数が増加している。授業では本田市長に、「遠野スタイル」とそのユニークな少子化・子育て支援施策についてお話いただきました。
遠野スタイルの子ども・子育て支援施策は、わらすっこ条例・わらすっこ基金・わらすっこプランを3本柱にしている。「わらすっこ」とは遠野では「こども」の意味。子どもの権利を保障する条例として、岩手県初であり、協働を支える理念である。施策を支える財源として、基金を設立。市内外から協力が得られ、条例と基金でプランを支える仕組みとなっている。
わらすっこ条例は平成21年4月に施行し、今年度10周年を迎えた。子育ては世代に関係なく、市民皆で応援し、支えていくという内容の条例である。前例がないので批判はあったが、条例を制定したことにより、広く子育てに対する市民の理解が得られ、それが機運の醸成し、制度を支える基金への多くの人々の協力という流れを生みだすことに繋がった。さらに子ども・子育て支援施策の審議機関であるわらすっこ支援委員会には、高校生2名にも参画している。
「遠野わらすっこ」プランは、安心して産み育てられる環境づくり目指し、出会い・結婚・出産・子育て・教育・就労・孫育てまで、切れ目なくライフサイクルを支援するもの。このプランの実行のために市の総合力をあてている。
それまでになかった新たな仕組みも生み出された。市内に産婦人科がないということから、平成19年4月、助産院「ねっとゆりかご」を開設。ICTを活用して県内医療機関とネットワークを構築し、モバイル胎児心拍転送システムの仕組みを実現した。この助産院「ねっとゆりかご」の取組は2007年4月8日付のアメリカのニューヨークタイムズの記事でも紹介され、広く反響を呼んだ。助産師、救急救命士を配置し、医師法という制度の壁を越えて実施した。また、救急車で出産する妊婦さんを医療機関へ運ぶという仕組みも構築した。
遠野市は、「永遠の日本のふるさと遠野」をまちづくりの指針としている。誰にでも「ふるさと」がある。それは懐かしく、温かい。本田市長のお話をうかがい、中央と地方、都会と田舎という二項対立的な思考を超えるところに「遠野スタイル」があるように感じた。
 会場からは、遠野市の取組みを応援する声や児童虐待の問題、若者の定着率に関する質問などがあり、本田市長との間で活発な意見交換がなされた。
次回6月6日(木)の「地域創生論」は、「未来デジタルものづくり」とのテーマで株式会社アイオー精密社長の鬼柳一宏氏を講師に迎えます。