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新着情報

「地域創生論」第10回目の授業が東京大学名誉教授で医学博士の渡邉俊樹氏を講師に迎えて

授業関係
 6月13日、「地域創生論」第10回目の授業が東京大学名誉教授で医学博士の渡邉俊樹氏を講師にお迎えし「病気と地域生活の未来」というテーマで行われました。渡邉先生は日本における白血病研究の権威でありこの分野で世界を牽引する医学者。同時に内科医であり東大の教員でもあります。近年、水泳の池江璃花子選手が発症を公表して話題となった白血病。血液細胞の「がん」である。白血病と悪性リンパ腫の2種類に分類される。渡邉先生のご専門は悪性リンパ腫で正式名称は「成人T細胞白血病(ATL)」。血液細胞へHTLV-1ウイルスが感染することで発症するATL。日本人の100人に1人が感染しているとされ、ATLで毎年1200人が死亡している。難病中の難病である。実際にどのくらいの人が感染しているか正確な数は不明であり、感染を防ぐ体制がまだ確立していない。そして疾患の発症予防法や治療法がまだない。授業では白血病ウイルスと白血病研究の紹介を通して、病気と地域生活の未来についてお話いただきました。
1977年、京都大学のグループが世界で初めて報告し、人で初めて白血病ウイルス(HTLV-1)の発見につながった。人類の移動とともにアフリカから世界に人がったHTLV-1ウイルス。世界のHYLV-1感染者の分布をみると日本は先進国中唯一のHTLV-1感染多発地帯。母子感染年間約100名、輸血で阻止、性行為で主に男性から女性へ感染年間約4200人と推定される。HTLV-1はわが国の重要な健康問題。渡邉先生は厚生労働省の「HTLV-1対策推進協議会」座長でもある。また「世界HTLVデー」制定などを通し、広報・啓発の機会の拡大、メディアによる情報発信、イベントによる交流により国民の認知度の向上、正確な情報提供、医療行政の改善など、HTLV-1総合対策の推進にも尽力されている。
病気とは何か。健康とは何か。私たちはその本当の意味を知らなければならない。「知は力である」。知の最前線で難病と闘う渡邉先生のお話をうかがいそう感じました。あらゆる困難を乗り越え、新たな時代を切り拓いていくためには、確たる学問の存在は重要である。それは地域創生の問題についても同じであろう。質問時間には、医療に関する多くの質問が寄せられました。
次回6月20日(木)の「地域創生論」は、「日本の地域振興は中山間地域から」とのテーマで行います。