文字サイズ
※翻訳が不十分な場合もございます。
ご了承下さい。

新着情報

第11回「地域創生論」が行われました

授業関係
 6月24日、地域創生論の第11回目の授業が行われました。今回は岩手県一戸町から田中辰也町長を講師としてお迎えし、「北岩手の振興が岩手的発展の鍵」というテーマでお話しいただきました。
 かつては広大な山林と原野のほかに何もないといわれた地域は今や新しい時代を創る豊かな資源と可能性を秘めた大地と目されるようになっている。一戸町を含めた北岩手9市町村が連携し地域の活力が最大限に発揮されることを目指す取組みがそれである。自然環境等の地域資源を最大限に活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支えあう。横浜市との連携協定もその一環であろう。北岩手循環共生圏とよばれるこの構想は先駆的な取組みとして、令和2年度の環境白書に取り上げられている。
 再生可能エネルギーの実用化、SDGsと脱炭素化に向けた社会の動き、文化的な価値や心の豊かさを志向するライフスタイルのあり方は、産業革命後の社会経済的システムを支えてきた人々の自然観や価値観に影響を与えている。これまでは自然をいかに支配するかという発想が中心であって、自然との共生という発想を中心とした社会経済システムを構築するという考えは大きな支持を得ることはなかった。しかしそこに変化が生まれている。平成31年、横浜市は北岩手9市町村およびその他の東北の地域との間で再生可能エネルギーに関する連携協定を結ぶ。その一つの現れであろう。
 一戸町にある御所野遺跡を含む縄文遺跡群の世界遺産登録への期待が膨らんでいる。岩手の地に所縁のあるユニークな縄文人の生活、文化、智慧を人類の宝として高く評価し学ぼうとする人類と世界の謙虚な姿勢が感じられて嬉しい。縄文人の生活のあり様を究極のSDGsとみる見方もある。未来性豊かな北岩手の循環共生圏の構想は新たな時代と社会の扉の一つを開く鍵かもしれない。