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新着情報

第9回「地域活性化論」 『花巻市における脱炭素に向けた取組』と『花巻バイオマス発電所の脱炭素の取組』が行われました。

授業関係
 11月25日、花巻市市民生活部生活環境課の西尾陽子主任と㈱花巻バイオマスエナジーの河合雄介管理部長を講師としてお迎えし、脱炭素への取組みについてお話しいただきました。

 西尾主任は名古屋市出身。宮澤賢治が好きすぎて(賢治の故郷をたびたび訪れるうちに花巻が好きになり)2019年に花巻市役所に転職し移住した方です。こういう就職の仕方に多くの学生が関心を示しました(レスポンスカードから)。

 講義は、「生活環境課の紹介」、「地球温暖化に対する日本の動き」、「花巻市の取組―花巻市役所地球温暖化対策実行計画 第1期(2009年策定)、第2期(2016年策定)、第3期(2021年3月策定)」についてでした。この計画により、花巻市は事務・事業を行う全ての市の組織や施設で燃料と電気を使用する際に発生する二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の削減に努めています。これまで(第1期、第2期)の実績とこれから(第3期)の目標等についてわかり易い解説がありました。第2期の最終年度(2020年度)には目標-4.5%(2014年度比)に対し実績は-25.7%の大幅な削減ができました。その理由のひとつは、市内全ての小学校、中学校の契約電力事業者を東北電力から花巻銀河パワー(花巻バイオマス発電所の売電部門)に変更したことにより利用電力の二酸化炭素排出係数が0.519→0.046 単位:kg-CO2/kwhと大幅に下がったからです。この授業後半の花巻バイオマス発電所の効用の説明がありました。授業のラストは講師の本領発揮、宮澤賢治「ポラーノの広場」の一節『ぼくはきっとできるとおもう。なぜならぼくらがそれをいまかんがえているのだから。』で締められました。

 授業後半は、その花巻バイオマス発電所についてで、まず親会社タケエイグループの紹介があり、なぜバイオマス発電に進出できたのか(したのか)の説明がありました。次に木質バイオマス発電所の事業スキーム(「燃料製造事業体・花巻バイオチップ㈱」と「発電事業体:㈱花巻バイオマスエナジー」と「電力小売り事業体:㈱花巻銀河パワー」の3社で成り立っていること)、この事業による地域への波及効果(約100名の新規雇用が創出、環境負荷の低減(排出係数の低減により)では年間約2万tのCO2削減となっていること)の説明がありました。次に、日本の森林資源の現状、森林のはたらき、林業の概説(なぜ間伐が必要か等)や木材利用(バイオマス材の燃料用)に関する講義がありました。
 最後に花巻バイオマス発電所では余熱利用でキクラゲ栽培していること、今後は燃料の確保として、これまでは燃料化出来なかった林地残材、根っこや剪定枝の資源化を目指しています。そのための大型移動式チッパー(切削型と破砕型の2機)を保有。大学のすぐ傍(ファミリーマートの前の幹線道路沿い)の皆伐地でこの移動式チッパーは稼働しました(通学路沿いでの作業なので気付いた学生がいたかもしれません)。林地残材等を積極的にチップすることなど、その企業努力の紹介がありました。本学では環境教育のフィールドワークとして花巻バイオマス発電所の見学をさせて貰っていますが、本講義であらためて同発電所の先進性を学ぶことが出来ました。

 講義終了後は、地域連携推進センター主催の「地域活性化論研究会」を開催。西尾主任、河合部長、本学教職員3人、学生3人の参加で、授業振り返り、情報交換、意見交換を行いました。


左: 西尾陽子主任  右:河合雄介管理部長

  
西尾主任講義          河合部長講義

  
授業風景            質疑応答