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新着情報

第7回「地域創生論」 『地域主導でのエネルギー事業作り』が行われました。

授業関係
5月25日の講義は、紫波グリーンエネルギー株式会社、環境エネルギー普及株式会社の代表取締役 山口勝洋氏を講師として開講されました。2004年より省エネ・再生エネルギーの導入実現事業に携わって来られた「日本の再生エネルギー開発の草分け的存在」山口氏の講義概要は以下の通りでした。

「1.沿革」では、地域から小中規模のエネルギー事業を作ることはできる!として、岩手県紫波町での事業展開の紹介があった。環境エネルギーの設計・導入・運用サービスの会社を2010年に設立して、町所有の温泉施設の重油消費を半減させる省エネ・再エネ複合事業(ラ・フランス温泉館事業)を、2014年からは紫波町駅前の再開発オガール地区における地域熱供給(木質熱)事業を行っている。この事業はオガールエリアの紫波町新庁舎、オガールベース(民間複合施設 ビジネスホテル/バレーボール専用体育館/コンビニ/薬局等)、紫波型分譲エコハウス(戸建て住宅)向けに熱・冷熱を31年の長期に亘って供給する契約であり、地域を面的に脱炭素・地域エネ化できる地域熱供給の日本における先行モデル事業となった。

「2.地域ぐるみ木質小型熱電併給事業」では、岩手の地域特性に合った、木を使って、石油消費を減らす事業の紹介があった。岩手県は自然資源(森林)が豊かなところで、再生エネルギーの自給率を高めていけるポテンシャルがある。エネルギーは生活必需であり、今は、地域の様々な人と協働の仕組みを作れるバイオマス事業に注力している。重油や灯油、ガス等による熱ではなく、木質由来の熱に置き換え化石燃料の消費を削減する活動に取り組んでいる。価格変動も大きく供給不安定な化石燃料に比べ、木質は地域内で自給でき安定している。それによる熱と電力を利用することによる地域内での経済効果は大きい。その事例として老人福祉施設「百寿の郷(紫波)」と「ゆうゆうの里(石鳥谷)」の熱電併給事業の紹介があった。地域内での実行体制の構築による地元経済への貢献が実践されている。

「3.地域収入・森林資産作り」では、森林の持続的な経済活動をどう作っていくかにつき解説があった。森林(地域資源)の利用による経済効果、森林の持続可能な利用方法、その気仙沼での事例紹介等があった。

「4.地域事業と大規模事業の世界」では、規模の違いはお金の質の違いとなる。地域主導の事業の本質とは何であるのかにつき、資金調達の手法・プロジェクト・ファイナンス(業界型)の解説があり、この業界型(大きい金額)の世界の手法は地域エネ事業とは対照的で相容れない。市民出資の地域ぐるみのエネルギーサービス・プロジェクトでは、ユーザーに代わって設備投資や運用を担う組織により普及のハードルを下げることでうまくいっている事例が多い。その様な市民出資型風力発電事業(山口氏の関与した事例)の紹介で講義を終了された。

講義後のQ&Aでは、会場からの質問や意見(地域主導のエネルギー事業に自治体はどう関与・支援をすればいいのか。大学発の地域エネルギー会社/山口氏が立ち上げた千葉商科大学事例)の参考情報。森林利用は環境破壊ではという学生の誤解等等)に講師と学長から丁寧な説明がなされました。

左:山口社長 右:岡田学長

授業風景

授業風景