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新着情報

林業・畜産業体験型フィールドワークを「岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター」にて一泊二日で実施しました。【吉田・遠藤ゼミ専門演習と地域連携センター学生委員の合同】

授業関係
8月5日と6日の二日間、岩手の地域特有の自然や産業等への理解を深め、地域社会に求められる人材を育む事を目的に、林業と畜産業を学ぶ体験型フィールドワーク(FW)を「岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター」で実施しました。このFWは岩手大学との連携協定に基づくもので先月実施の教養演習での農業・林業FW(既報URLはここから)に続き実施しました。

場 所:岩手大学農学部付属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター 
    御明神演習林、御明神牧場
日 時:8月5日(月)は11時から演習林FW。6日(火)は8時45分から牧場FW。
参加者: 吉田ゼミ生2名、遠藤ゼミ生3名、地域連携学生委員1名。教員3名。
内 容:
御明神演習林…初日はまず白旗学先生(造林学)のミニ講義で演習林の概要の説明がありました。人工林のつくり方、持続可能な森林のサイクルは人生に類似の手間と時間がかかること、森林の果たす多面的機能等も学びました。林業の経済性や歴史的変遷も含めた解説があり、林業県で経済学を学ぶ富士大生に森林の重要性を理解して欲しいという講義でした。(写真1)。昼食の後は林内実習。まずバスで「山の神」にお参りし祠付近の樹木観察(樹種と地形の関係や昨今の野生動物による被害発生など)を行いました(写真2, 3)。次に伐採現場に移動。まず人力のチェーンソーによる伐木(写真4)作業を見学、伐倒の迫力やかかり木処理(倒木が隣接する木に引っかかる)の大変さを体感しました。次に高性能林業機械のハーベスターによる伐倒と造材作業を見学(写真5)。ハーベスターの実機の説明を受けました(写真6)。次に全員がノコギリ(自分の人力 写真7)とチェーンソー(石油エネルギー利用 写真8)での玉切り(丸太切断)を実習し機械化の威力の凄さを体感しました。ラストは皆伐跡地へのカラ松の植林地に移動し、保育作業(地拵え→植林→下草刈り→間伐)を現物で学びました。
御明神牧場…平田統一先生(獣医学)から牧場のミニオリエンテーションと畜産に関するミニ講義がありました(写真9)。御明神牧場の歴史、畜産の本質とは何か、国産と食料自給率と畜産の関わり、乳牛と肉牛の違い(育種方法、管理方法の違い)等々について講義を受けました。現代の畜産業が如何にして経済性(採算性)を高めようとしているのかその実態は動物にとってはなかなか過酷なものである事を学びました。そして施設玄関前で集合写真(写真10)を撮り外に出ました。戦前この地には満州開拓移住者のリーダー訓練所(文部省第一拓殖訓練所)があり、その記念碑の前でその近代史も学びました(写真11)。その後牛舎に移動。まず、畜産業で最も簡単かつ必須施業である雄牛の去勢手術を見学しました(写真12)。この見学は生々しく学生に大きな衝撃を与えるものなのですが今年も同様でした。その後は、餌やり作業(配合飼料と牧草)を実習しました(写真13,14)。畜産業でのAI化、DX化の研究や実践が行われています。自動哺乳設備や分娩兆候探知装置などを教えて貰いました(写真15)。その後は気分一新で「賢治の丘」に登り、新鮮な空気と雄大な景色を堪能(写真16)して二日間にわたるFWは終了となりました。

学生の感想や気付きには以下の様なものがありました。
演習林
・御明神演習林の木材が名古屋城の復元で梁に利用されている事を知った。森林資源(木材)が文化にも大きく関わっていることを感じた。
・普段見ることのない高性能林業機械ハーベスターでの伐採見学、そしてチェーンソーと手鋸での丸太切りをやった。手作業と機械の両方を体験したことで機械の偉大さや便利さを痛感した。
・木材の値段が想像よりもはるかに安くて衝撃を受けた。
・林業の作業のひとつひとつにいろんな工夫がなされている。作業の労力の低減化大きな課題となっている。
・下草刈りの大変さを理解した。この下草刈りは労働負担が大きくコストも高い。伐倒した後に材を運びだすにもコストはかかる。伐採工(林業従事者)は暑い時にも厚い服を着るし作業も危険なので技能と技術も必要。たいへんな仕事であることを理解した。
・農地と違い森林は土地の人為的改良は不可能。樹木の育成には時間がかかるので品種改良が進んでいない。農業と林業に違いを知れた。
牧場
・センサーやカメラで出産兆候の検知や確認を行っていたことに衝撃を受けた。
・牛の管理の仕方や餌の与え方など牧場で行われている作業内容を具体的に知ることができた。
・家畜には甚大な被害をもたらす感染症があることを知った。
・畜産業と林業、それぞれの大変さや課題、作業内容を具体的に知り理解できた。この大変さを考えると林業と畜産業はある意味限られた人にしかできない専門職でもあるように感じた。
・畜産業では経済的な価値が優先されている。命を「商品」として扱っているのを実感した。
・牛が産まされていることを知った。命を貰って(食料として)自分たち(人間)が生きていることを改めて感じた。
・同じ生き物でありながら「商品」として様々な手を加えられている牛を見て倫理的に思うことはあったが、これも一つの生き方だという新しい視点が出来た気がする。


写真1 ミニ講話  演習林                      写真2  林内観察                              写真3 林内観察   
      
 
写真4  チェーンソー伐倒木 切断面解説         写真5 林業機械ハーベスターの伐倒・造材見学    写真6 ハーベスターの構造説明 
     

写真7 手鋸による丸太切断実習                  写真8 チェーンソーによる丸太切断実習       写真9 ミニ講話 牧場
      

写真10 集合写真                                  写真11 第1拓殖訓練所跡地記念碑前講話     写真12 雄牛去勢手術見学
      

写真13 餌さやり作業実習(配合飼料)     写真14 餌さやり作業実習(牧草)             写真15 自動哺乳設備
      

写真16 賢治の丘での記念写真