第4回 地域活性化論 『(矢巾町の)住民主体のまちづくりの延長にみる地域活性化』が行われました。
授業関係
10月10日(木)は矢巾町政策推進監兼未来戦略課長 岩手県立大学客員準教授 吉岡律司氏を講師としてお迎えし、矢巾町のまちづくりについてお話しいただきました。
矢巾町は盛岡市と花巻市の中間に位置する人口約2.8万人の町です。同町では水道事業/水道インフラの将来維持につき、住民と町が共にそのあるべき姿を考え、水道料金への施設更新積立(料金の値上げ)を実現しました。役所からの一方的な説得的コミュニケーションではなく、住民と一緒に水道事業の諸課題を考える双方向コミュニケーションを行い、住民の総論賛成・各論反対の状況を、「知らせる」から「参加へ」。そして役所の押し付けではなく、あるべき姿の議論を繰り返し丁寧に行うことで合意を形成し、その結果を施策に反映しました。このプロセスを牽引したのが吉岡氏です。少子高齢化時代を迎えたわが国では公共インフラの維持は社会的な大課題となっています。この矢巾モデルは先駆的な取組として国内外から高い評価を得ており、吉岡氏はNHKの「日曜討論」や「クローズアップ現代」にコメンテーターとして出演しています。BBCも取材に来ています。
授業の前半は、水道事業における双方向コミュニケーションを如何にして実現したのか。その実験実践の軌跡(水道事業に関するワークショップ(WS)開催経緯とその展開、CAUSEモデル等手法の紹介、その広報等々)でした。授業後半は、上記のWS手法はフューチャーデザイン(FD)という学問で吟味と評価がなされていること(大阪大学大学院と矢巾町の共同研究)の紹介でした。フォアキャスティング、バックキャスティング、フューチャーデザインのそれぞれの目線には違いがある。FDにより、未来像がしっかり議論され、イメージ化することで、今後取り組むべき政策が具体化される。FDの長期的な視点で考えれば、社会はまだまだ多くのことを達成できる、というのが学問的評価です。矢巾町では公共施設等総合管理計画策定、第7総合計画後期基本計画等でFDを実施し様々な分野でまちづくりに取り入れています(資料には矢巾町農商工共創センター構想ver1.2の紹介がありましたが時間の関係で説明省略。残念)。最後に「見る立場、見ている人のニーズなどによって見え方が変わるのが地域活性化。社会を良くするためにどんな事をしたいのか。自分事として関心をもち、それに共感できる人の数が沢山になること。その共感から生まれたものを皆でやるのが地域活性化である。」と授業を終えられました。
その後、第2部として「地域活性化論研究会(進行:吉田教授)」を開催し、授業振り返り、本論に関する有益な情報交換、意見交換が行われました(写真4.写真5)。
学生の授業レスポンスカードには:
・役所と住民が共にまちづくりを行うというテーマだった。授業を聞いて考え方が変わった。全ての人のニーズに応えるというよりは、WSの少人数の活動でも十分な意見が出せるということを学んだ。ともすれば役所がものごとを決め、住民が従うというフレームが現在の姿であるが、住民が自らでつくることが必要なことだと感じた。
・新しい視点や考え方が多くあり刺激になった。
・非協力行動から協力行動へ変化していかないといけないことがわかった。
・講義は水道事業がメインであったが、それよりもどうやって政策を実現するのかという話が要だったと感じた。FDは体験してみないと少し難しいと思った。今の世の中、目の前のことに精一杯で将来を考えない大人が多数の気がする。そういう人にやる気を持たせる社会をつくることが必要と思った。
・バックキャスティングではなく、FDという視点で考えることが本当の社会問題に向き合うことにつながることがわかった。
・今回の講義で意識が変わった。現状を知り、未来でどんなリスクが起きるのかを把握できれば、「未来への投資」と捉えて前向きに考えられるようになると思った。行政が変われば住民も変わることを学んだ。
・町民からの提案が上がってくること。それをくみ取れることが、住民主体のまちづくりだなと感じた。
・知識、信頼、道徳意識をもつことが大切だと思った。
・コミュニケーションの難しさを改めて感じた。
・様々な試行錯誤をしているのがとてもすごいと感じた。
などがありました。
写真1 左:吉岡氏 右:岡田学長 写真2 授業風景 写真3 授業風景
写真4 地域活性化論研究会 写真5 地域活性化論研究会
矢巾町は盛岡市と花巻市の中間に位置する人口約2.8万人の町です。同町では水道事業/水道インフラの将来維持につき、住民と町が共にそのあるべき姿を考え、水道料金への施設更新積立(料金の値上げ)を実現しました。役所からの一方的な説得的コミュニケーションではなく、住民と一緒に水道事業の諸課題を考える双方向コミュニケーションを行い、住民の総論賛成・各論反対の状況を、「知らせる」から「参加へ」。そして役所の押し付けではなく、あるべき姿の議論を繰り返し丁寧に行うことで合意を形成し、その結果を施策に反映しました。このプロセスを牽引したのが吉岡氏です。少子高齢化時代を迎えたわが国では公共インフラの維持は社会的な大課題となっています。この矢巾モデルは先駆的な取組として国内外から高い評価を得ており、吉岡氏はNHKの「日曜討論」や「クローズアップ現代」にコメンテーターとして出演しています。BBCも取材に来ています。
授業の前半は、水道事業における双方向コミュニケーションを如何にして実現したのか。その実験実践の軌跡(水道事業に関するワークショップ(WS)開催経緯とその展開、CAUSEモデル等手法の紹介、その広報等々)でした。授業後半は、上記のWS手法はフューチャーデザイン(FD)という学問で吟味と評価がなされていること(大阪大学大学院と矢巾町の共同研究)の紹介でした。フォアキャスティング、バックキャスティング、フューチャーデザインのそれぞれの目線には違いがある。FDにより、未来像がしっかり議論され、イメージ化することで、今後取り組むべき政策が具体化される。FDの長期的な視点で考えれば、社会はまだまだ多くのことを達成できる、というのが学問的評価です。矢巾町では公共施設等総合管理計画策定、第7総合計画後期基本計画等でFDを実施し様々な分野でまちづくりに取り入れています(資料には矢巾町農商工共創センター構想ver1.2の紹介がありましたが時間の関係で説明省略。残念)。最後に「見る立場、見ている人のニーズなどによって見え方が変わるのが地域活性化。社会を良くするためにどんな事をしたいのか。自分事として関心をもち、それに共感できる人の数が沢山になること。その共感から生まれたものを皆でやるのが地域活性化である。」と授業を終えられました。
その後、第2部として「地域活性化論研究会(進行:吉田教授)」を開催し、授業振り返り、本論に関する有益な情報交換、意見交換が行われました(写真4.写真5)。
学生の授業レスポンスカードには:
・役所と住民が共にまちづくりを行うというテーマだった。授業を聞いて考え方が変わった。全ての人のニーズに応えるというよりは、WSの少人数の活動でも十分な意見が出せるということを学んだ。ともすれば役所がものごとを決め、住民が従うというフレームが現在の姿であるが、住民が自らでつくることが必要なことだと感じた。
・新しい視点や考え方が多くあり刺激になった。
・非協力行動から協力行動へ変化していかないといけないことがわかった。
・講義は水道事業がメインであったが、それよりもどうやって政策を実現するのかという話が要だったと感じた。FDは体験してみないと少し難しいと思った。今の世の中、目の前のことに精一杯で将来を考えない大人が多数の気がする。そういう人にやる気を持たせる社会をつくることが必要と思った。
・バックキャスティングではなく、FDという視点で考えることが本当の社会問題に向き合うことにつながることがわかった。
・今回の講義で意識が変わった。現状を知り、未来でどんなリスクが起きるのかを把握できれば、「未来への投資」と捉えて前向きに考えられるようになると思った。行政が変われば住民も変わることを学んだ。
・町民からの提案が上がってくること。それをくみ取れることが、住民主体のまちづくりだなと感じた。
・知識、信頼、道徳意識をもつことが大切だと思った。
・コミュニケーションの難しさを改めて感じた。
・様々な試行錯誤をしているのがとてもすごいと感じた。
などがありました。
写真1 左:吉岡氏 右:岡田学長 写真2 授業風景 写真3 授業風景
写真4 地域活性化論研究会 写真5 地域活性化論研究会