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新着情報

第4回「地域創生論」NHK経営企画局長で前盛岡放送局長の田中宏曉氏を講師に迎えて

授業関係
 5月3日、「憲法記念日」のこの日、NHK経営企画局長で前盛岡放送局長の田中宏曉氏を講師にお迎えし、「NHKは地域の歴史をアーカイブする~公共放送の役割~」とのテーマで第4回目の「地域創生論」が行われました。放送の意味、NHKと地域社会、高度情報化社会における公共放送の役割などを考える、現代NHK論あるいは現代メディア論ともいえる講義となりました。

 講義ではまず公共放送の始まりについて概観した後、NHKが経営計画の重点として、多様な地域社会への貢献をあげ、少子高齢化や過疎化の進行など、様々な課題に直面する地域社会に貢献するため、全国ネットワークも生かしながら課題や解決策を提起するとともに、多様な自然・歴史・文化、人々の暮らしなど、それぞれの地域ならではの魅力を広く伝えることに努めてきたことが話されました。特に岩手県との関係では、①「命と暮らしを守る」報道に全力を挙げ、東日本大震災などの被災地の再生の課題や取り組みを積極的に発信し、「記憶の風化」と戦うこと、そして②地域に寄り添う放送・サービスを効果的に強化し、岩手の魅力を全国・海外にも発信するとともに、さまざまな課題と正面から向き合い、地域の活性化に貢献する、という方針で報道や企画がなされてきたことを、具体的な番組等を例に紹介をされました。

 ところで現在私たちの生きる社会は、高度な情報化の進展により人々の相対的なテレビ離れ、インターネットの浸透、モバイル端末の急速な普及、情報コンテンツの質的競争などが進行し、人々の放送等の視聴環境やメディア利用に急激な変化が生じております。いわゆる放この放送と通信の融合の時代において、「情報の社会的基盤」ともいえる公共放送であるNHKはこれにどのように対応し、いかなる役割を担うことになるのでしょう。講義の中で田中氏はこれをNHKの「公共放送から公共メディアへと進化」と表現します。そしてNHKが、地域社会との関わりのなかで、それぞれの地域に関連するさまざまな情報やコンテンツを集約し、利便性の高いインターネットサービス等を開発・提供しながら、地域社会の活性化に貢献することができるという点を示唆します。今回のテーマ「NHKは地域の歴史と生活をアーカイブする」は、このことを端的に示すものだと感じられました。

 講義の最後には質疑の時間をとり、NHKにバラエティ番組が多くなったことの評価について、放送法の改正の議論について、若者のNHK離れについて等をテーマに、講師と受講者との間で意見交換がなされました。

 次回5月10日(木)の「地域創生論」は、遠野市の本田敏秋市長を講師に迎え、「遠野市の地域振興戦略」とのテーマで行われます。