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第3回「地域創生論」一関市長の勝部修氏を講師の迎えて

授業関係
  大学へ向かう桜並木も満開となった4月23日、「地域創生論」第3回目の授業が行われました。今回は一関市長の勝部修氏を講師に迎え、「地域はこのようにすると活性化する-一関市の挑戦-」というテーマでお話をしていただきました。
 冒頭に挨拶に立たれた岡田学長は、本日の授業の狙いと講師の勝部市長について次のように紹介されました。これまでの授業で総論的に、国家政策としての概要とこれに関する言論界の諸論説、そして県政レベルでの地域創生政策の展開を確認してきたが、3回目としての今回は、これを住民に最も身近な基礎自治体である市政レベルでとらえようとするものです。本日お迎えした勝部市長は、長年にわたり県行政の第一線で活躍された行政マンであり、また2009年から一関市長として市政のトップとして地域創生に携わっておられる。「アイデア市長」として有名です。興味深いお話が聞けると思うので質疑の時間には学生諸君は大いに質問をしてもらいたいし、できれば勝部市長から学生たちに質問をお願いしたいと話されました。
 そして始まった授業。一語一語言葉を選ぶように語られる勝部市長のお話から、地域の住民の生命と財産を預かることを使命とする行政のリーダーの強い責任感と深い苦悩が伝ってくるようでした。「私見ですが」と断りながら、勝部市長は高齢化と人口減少が確実に進行し続けている地方と地域の現実を直視し、現在の基礎自治体の枠組みをそのまま維持することの難しさ、将来的に消滅する自治体が出てくる可能性を隠さない。他方、国の地方創生政策に対しては、規模も特性も異なる全国の地域を画一的に扱おうとする点において、懐疑的である。地方自治体にとって実効性ある地域創生政策とはなんだろうか。勝部市長は「他力本願ではだめ」、自らが自力で変わっていかなければならないと主張する。「中東北」という視点、「栗登一平」くんと呼ばれる地域連携、地域の先人「大槻玄沢」に関連づけたバルーンやビールのフェスティバルなど。瑞々しい発想で自らの地域の個性を形作る一関市の「挑戦」は、地域創生を考える多くの示唆に富むものでした。
 その後、受講者から多くの質問が寄せられました。ビールフェスティバルやバルーンフェスティバルなどのイベントの集客数と地元定着率の関係、観光資源としての棚田の将来、平泉との合併の可能性、もち文化の海外発信、大槻玄沢の教育的展開など、多彩な質問に丁寧に答えられる勝部市長の姿が印象的でした。
 次回5月2日の地域創生論は、「NHKはこのように地域支援している」とのテーマでNHK盛岡放送局長の大久保嘉二氏を講師にお迎えします。