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関上哲教授が「いちのへ町民セミナー」で講演しました

お知らせ
 11月6日(土)、岩手県北の一戸町教育文化センター内でいちのへ町民セミナーが開催され、関上哲教授が「『子ども孝行』」のすすめ~モンゴルと縄文生活より学びそして“人生百年時代”に求められる「孝行」を考える~」というタイトルで講演しました。
 主な内容は次のようなものです。
 人生百年時代を迎えて、ライフスタイルが大きく変容してきています。そのような時代に想い起こされるのは、親と子の関わりの模範的あり方として語られてきた、「孝行」という言葉です。「親孝行」という言葉は、子が親に育ててもらった恩義に感謝し、報いることでした。それは子供が立派に成長したときに、日本人的美徳として目指すべき方向性を示してきたといえます。
 モンゴルの旧正月(ツアガーンサル)では、「ハタグ」という青い布を持って年下の者が年長者の家を訪ね、互いにハグするように両腕を前に差し出して(年上は上、年下は下)「お元気ですか?良い新年を迎えられましたか?」と声をかけ合いながら頬を右・左と近づけて挨拶するのが習慣です。そして子どもたちは祖父母や両親へハタクに乗せたプレゼント(お金=1万トグルグや牛乳:女性、お酒:男性)を渡し、日ごろの感謝の気持ちを差し上げる。モンゴルでは、このように年寄をとても大切にしている生活習慣が根付いています。
 今「百年時代を生きる」スタイルとして望ましいのは、「同居」または「近居」かもしれないのですが、こうも考えたい気がいたします。親に育てられた本人が、結婚し家族の親となり、次には子どもに「親の孝行」を伝える、されど社会経済の変化は育った時代の社会より急速に都市化・経済の分業化を強いる社会となっている。ならば、これからの親は子どもとの同居・近居も踏まえ、いっそのこと「子ども孝行」を考えたらどうか。子どもの幸福を願いながら共に暮らせるなら暮らし、同時に自らの健康と人生のために、子ども孝行を唱え自らの生き方を模索していく。そう願うとき、現代の一戸町に暮らす町民の方々には、縄文の大祖先である縄文人はどのように一生を暮らし生活してきたのか、土が載る竪穴式住居群をどのように作り出したのか?そこには、親である彼らが子供たちと暮らす近居あるいは同居を願い生きたのではないか。むろん、そうせねばならなかった自然環境の厳しさはあったにしろ、そんな一生を暮らす縄文人のロマンがあったのではないかと、そう想い起こすことができるのです。今、そのように一戸町の縄文人の暮らしに思いを馳せます。そして、もしかしたら、縄文人は一戸町に暮らす人々にいつの時代にも子供と暮らす幸せを願い続けていたのではないか。そんなことまで考えてしまうのが子ども孝行の考えです。
 一戸町は町内の御所野遺跡が世界文化遺産登録にしたことにより、急速にその町内様子を変えつつありますが、縄文人の暮らした生活スタイルをしのびながら、モンゴルの国民が目上を大切にする良い習慣などが、これからも一戸町の人々には継続していってほしいと願う講演会でありました。
 熱心な町民セミナー参加者からは、いくつか質問が寄せられましたが、終始和やかな講演会であったと思います。