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富士大学公開セミナー「グリーン社会の構築にむけて」を盛岡市で開催しました

イベント
 地球温暖化の原因をなすCO2の吸収源対策に森林は重要な役割を果たします。国家的重点政策である「2050年のカーボンニュートラル」の実現という点でも、森林及びそれを維持・管理する林業には大きな期待が寄せられます。市町村や地域には森林整備と林業振興に力を注ぐことが求められますが、それは同時に、広範な森林と多くの林業従事者を抱える岩手県の活性化の絶好のチャンスともなります。
 今日的に非常に重要となるこのテーマに関する公開セミナーを11月4日(金)に、盛岡で開催しました。

 まず、織田林野庁長官による基調講演「グリーン社会の構築に向けた林野庁の取組について」では、国の政策の要点に関する説明があり、その理解を深めることができました。特に、現下の注力政策である「森林由来J-クレジットの見直し等に向けた取組」については、詳細な解説がありました。
 続いて、パネラー3名によるショート・プレゼンテーションが行われました。1人目であるトヨタ自動車東日本(株)CN(カーボンニュートラル)推進室長兼ものづくり相互研鑽領域長の梅原武氏は、「カーボンニュートラル向けて」というタイトルで同社の取組を紹介されました。地域・自治体・国・企業が連携してこそ、エネルギーを賢く使う取組が推進できる、その達成に向け、ぜひ一緒に考えていきましょう、との呼びかけがありました。
 2人目である葛巻町長の鈴木重男氏は、「グリーン社会の構築に向けて」というタイトルで葛巻町の取組を紹介されました。農山魚村の持つ力は、地域資源活用による物産とエネルギーの地産にあり、それらの域内と域外への活用と連携実践が要諦であること、具体的事例を挙げながらグリーン社会実現への提言がありました。
 3人目である釜石地方森林組合参事の高橋幸男氏は、「地域に根付き魅力を発信していく地場産業としての森林業」というタイトルで同組合の具体的な取組や課題を紹介されました。森林業は地域だけでは成り立たない、都市部とのWin-Winの関係性の構築が必要であり、異業種が互いに自分の持っているスキルを持ち寄るパートナーシップを構築して、地域課題を解決し、地域の持続性を目指しているとのことでした。3名のパネラーに共通するのは、各々の業種を超えた地域内外での連携が重要であり、不可欠であるというメッセージでした。
 さらに、「県有林におけるJ―クレジットの取組」に関する情報提供が、岩手県農林水産部森林保全課県有林担当の宮本雅子氏からありました。
 途中休憩の後、岡田学長の司会によるパネル・ディスカッションとなり、活発な質疑応答が行われました。主要な論点は、カーボンニュートラルの実現を目指す新たな政策が、既存の評価の高い政策を後退化させることになってはいないか、という点や、地球温暖化対策において吸収源対策・森林整備は極めて重要であるにもかかわらず、我が国においてはその位置づけや認識が低過ぎるといった意見、J-クレジット制度への期待の面の一方で、個性的・特殊的森林整備が損なわれる懸念などである。(詳しくは別途公刊予定の報告書に譲ります)
 最後に、岩手県知事・達増拓也氏からメッセージ参加があり、公開セミナーは終了しました。
参加者総数は152名(自治体・県 61名、木材産業 43名、個人35名、マスコミその他13名)でした。
 尚、当日のセミナーの模様は、オンデマンドでのネット配信を予定しております。準備が出来次第、本学ホームページでお知らせします。

写真1 会場風景


写真2 岡田学長 開会挨拶


写真3 林野庁長官 織田央氏 基調講演


写真4 トヨタ自動車東日本(株)CN推進室長 梅原武氏 講演


写真5 葛巻町長 鈴木重男氏 講演


写真6 釜石地方森林組合参事 高橋幸男氏 講演


写真7 岩手県農林水産部森林保全課 宮本雅子氏 講演


写真8 パネルディスカッション


写真9  岩手県知事 達増拓也氏ビデオメッセージ参加