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新着情報

第4回「地域創生論」 『夢しか実現するものはない』が行われました。

授業関係
5月4日は岩手県葛巻町長の鈴木重男氏を講師として開講されました。鈴木氏は、若い時に役場職員として酪農、ワインづくり、クリーンエネルギーに携わり、現在は町長として16年目を迎え「ひと・地域・資源を活かした一歩先ゆくまちづくり」に取り組んでいます。地元の資源を活かした“食とエネルギー”でまちおこしを行う“くずまきモデル”の事例紹介がありました。
・酪農について:明治25年に始まった。年間平均気温8.8度の冷涼な気候に適した産業として先ずはこれに取組んだ。採草地、牧野を切り開き、その創意工夫と苦労が脈々と受け継がれ今年で130周年。今では牛数、牛乳生産量でも東北有数の酪農の町となった。儲かるものだけをやるのではなく「くすまき型新酪農構想⇒100頭規模経営」や「6次産業化農畜産物加工」などでの「人づくり」と「夢を追う」ことの両立が大事と考えている。
・ ワインについて:2代目の町長が山ブドウを主原料としたワイン作りに取り組んだが始めは理解されなかった(鈴木氏はその時に職員で従事)。地道な努力で今では町の特産物となった。今は世界一の葛巻ワインで”地元で愛されるワイン“を目指している。
・クリーンエネルギーについて:平成11年にスタート。今では風力発電による電力自給率は360%。葛巻町は面積の86%を森林が占める林業のまちでもある。山林を活用した基幹産業の酪農・林業の充実に注力してきた延長上に実現したのが風力発電。道路をつくって牧場をつくったら山頂には風が吹いていた。この道路を利用して風車を建てた。牧場の牛の頭数が増え糞尿処理に困った。でこの糞尿を利用し畜産バイオガス発電に取り組む“循環型酪農経営”を目指すことになった。「山ぶどう」も「山頂の風」も「糞尿」も一見は「負のもの」であるが実は宝だった。負のものの活用を実現したのが”くずまき型“である。
・少子高齢化対応:子育て、医療と教育面で保護者の負担軽減支援、人口減少対策事業などを実施している。バイオリン教室/保育料完全無料/在宅育児支援金/給食費完全無料/小中高生支援/葛巻高校生向け公設民営学習塾無料等。高校生まで医療費無料化、医療従事者養成、移住定住住宅整備等。(この事例には多くの学生が感嘆した。授業レスポンスカードより)
・情報通信基盤整備:「情報格差を無くす」ため町内全域に総延長450kmの光ファイバー網を巡らせた。緊急速報も議会放送も町内全域でみられるのは葛巻町だけ。
・最後に現在の取組みとして「くずまき鍋」の紹介があり、本学から葛巻町の職員に採用された3名の卒業生からの後輩へのメッセージも紹介されました。

質疑応答では、「住民に対する福祉等の諸施策の原資はどこから来ているのか」、「海外からの飼料が値上がりしている。酪農への影響はどうか」、「高校生等若者に葛巻に定住(戻ってきて貰いたい)して欲しいわけであるが実状はどうか」、「バイオリン教室は小学生になるとどうなるのか」、「次の重点施策は何か。未来社会では健康と観光がキーと思われるが更なる展開の論理はあるか」等々があり、鈴木町長のマインドと思想に富む示唆の教示がありました。

授業風景
  

左:阿部花巻市議 中央:鈴木町長 右:岡田学長