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新着情報

遠藤ゼミ(専門演習Ⅰ/Ⅱ合同)が岩手県主催 令和5年度「木質バイオマスセミナー」および「岩手県木質バイオマス地域利用サポーターフォローアップ研修」を西和賀町にフィールドワーク(FW)しました。

授業関係
 9月19日に岩手県が標記催事を開催。遠藤ゼミでは木質バイオマスの熱利用(地域内エコスシステム)を主な研究テーマとしています。この催事は令和4年度は富士大学で開催(http://www.fuji-u.ac.jp/news/61319)されたものですが、今回は西和賀町の事例を学ぶもので、それへのFWを行いました。ゼミ生11名が参加。FW内容下記の通りです。
第1部 室内研修
講演① 「木質バイオマス利用と地域内エコシステムの重要性」
     講師:岩手大学農学部 准教授 伊藤幸男氏
講演② 「西和賀町における森林バイオマスエネルギー利用の取組みについて」
     講師:西和賀町 町長 内記和彦氏
第2部 現地研修
① 西和賀町森林組合(土場、木材加工場見学)
オカゴ(キノコ培地用)/燃料チップ/薪生産設備等
② 町立西和賀さわうち病院(チップボイラー棟見学)
200kwチップボイラー2機を「暖房」、「給湯」、屋外玄関前の「融雪」に利用中

伊藤准教授からは木質バイオマス利用の要点は、・熱利用/個別利用が基本、・全てを木質バイオマスでやろうとしない、・全てを地域完結させようとしない、・仲間を増やす、である。熱利用分野は産業として確立していない段階であるので産業的手法で問題解決することが難しい。発想を転換し視点を変えながら、様々な仕掛け、仕組みを重層的に作り込んで、地域社会のゴールを見据えて取り組む必要があるとの講演でした。
内記町長(同町職員時代から長年バイオマス利用に関わられています)からは、実体験にもとづく西和賀町の森林バイオマス利用の取組みの変遷につき、当事者ならではの迫力のある講演でした。同町は薪ストーブ利用世界一を目指し、薪利用には早くから取組んでいます。また日本で一番早くチップボイラーを導入したのも西和賀町の雪国文化研究所でした(2001年 スイス シュミット社製20kw)。現在も冬の暖房用に稼働しています。このボイラーでの様々なトラブル経験や改良がその後の改善に活かされ、今ではこのボイラーが国内シェアNo.1となっています。また2014年(平成26年)からは町立西和賀さわうち病院で国産チップボイラー(オヤマダエンジニアリング製/岩手県と同社の共同開発)を利用しており、このボイラーの運転と燃料チップ供給は西和賀町森林組合が行っています。当日の現地研修はその施設を見学しました。

学生のFWレスポンスカードには:
・多くの学びがあった。課題は沢山あるが地域住民の関わりがとても大切だと思った。更に地域エコシステムや木質バイオマスに興味が湧くとても良い機会になりました。
・今まで点と点で知っていた知識が、熱は運べない事や、バイオマス利用の歴史等の背景となる出来事を知って繋がり、大きな流れが掴めて実り有る時間になりました。
・まだ新しく未発達な点もある分野ですが、地域経済効果など結果が明らかになってきて、実際に石油から切り替わっていく時に新たに生じる課題に迅速に対応するには、今日見た森林組合の様な組織の発達が必要だと思いました。
・西和賀町の木質バイオマスの熱利用は、地域資源とマネーの循環のいい事例です。
・大学の講義で聞いている内容と似た部分が多く、やはり大切なところであることがわかりました。
・地域内エコシステムの重要性について更に理解が進んだ。
などがありました。


写真1 西和賀町 内記町長 講演 


写真2 室内研修風景 西和賀町文化創造館 


写真3 西和賀町森林組合 土場 集合写真 


写真4 西和賀町森林組合 土場FW


写真5 町立西和賀さわうち病院 ボイラー棟FW 


写真6 さわうち病院 200kwチップボイラーFW