第5回「地域創生論」 『グローバルで戦う地域の先進企業の哲学』が行われました
授業関係
5月9日の講義は、株式会社アイオー精密代表取締役社長の鬼柳一宏氏を講師として開催されました。花巻市の出身で大学卒業後銀行勤務を経て、2001年に花巻に戻り同社(父親が創業の会社)に入社。2017年に代表取締役社長に就任。父君と共に会社の業態変革(レッドオーシャン戦略=大量生産・大量販売・在庫生産 → ブルーオーシャン戦略=変種変量・超少量・超多品種・超短納期・受託生産に)を成し遂げ、同社を世界的先進企業にされました。今も変容を続ける鬼柳社長の講義概要は以下の通りでした。
1. 会社概要と同社のビジネスモデル
1977年創業、花巻市に本社を置く精密金属部品の開発・加工会社で、「受託型加工業」として日本最大級の規模(売上高:70億円(2023年度実績) 連結:102億円、従業員560名)。日本・アジアに広がるネットワークで自動車工場等のFA(Factory automation)装置や半導体製造装置向け精密金属部品他を生産し、全世界を市場にしている世界企業(海外売上比率30%)。ものづくりの自動化、省人化伴うFA装置用や産業用のロボット市場、サービス医療・介護分野におけるロボット市場は有望である。同社のビジネスモデルは、超少量・超多品種生産において変種変量(顧客が欲しい製品を必要な数量だけ求められる納期で受注生産すること)・超短納期(納期順守率99%)・受注生産(作り置き在庫はしない)という独自のものである。
2. 同社の企業哲学:
この独自のビジネスモデルを支えているのが、企業哲学の浸透と哲学に適合した戦略の実践である。「哲学」とは、企業経営、事業戦略の根底にあるもので、目指すべき姿である。その目指すべき姿とは、「常に感謝の気持ちを忘れずに、従業員の物心両面での幸福を追求する。顧客や地域など全ての関係者が、我社と共に豊かになれるよう社会の公器として貢献度を高めていく」というものである。
3. 企業哲学の実践事例
その哲学の実践のために、①ハイブリッドものづくり戦略 ②顧客満足度(CS)の向上活動 ③つくり方改革(AIO版働き方改革)の推進、に力を入れている。製造業としての該社の特徴である事例の詳細説明があった。先進的、革新的なものづくりに挑戦し、競争力を向上する戦略を実践し、グローバル競争で勝ち続けられる企業となっている。従業員の物心両面での幸福を追求しており、「いわて働き方改革AWARD2023優秀賞」、「いわて健康経営事業所認定(平成6年4月)」を受けている。
4. 地域の製造業からの提言 ~ものづくり+ITで進める地方創生~
「ものづくりで進める地域創生」の中心にあるコンセプトは、「ものづくり」と「IT」の融合、いわゆる「デジタルものづくり」の推進である。マザー工場機能を持つ製造業の地方立地、物流と情報のインフラ高度化、事業の全国展開&海外進出、人材受入等を図りながら、同時にものづくり人材・IT人材の育成と定着を産学官と地域が一体となって進めていくべきとしている。2023年度から一般社団法人「アイオー精密ものづくり教育振興会」を立ち上げ新たな活動を開始している。
最後は、「製造業(アイオー精密)には(富士大学の様な)文系学部卒業の方が活躍できる仕事がたくさんあります。要はその仕事が面白い!!と継続して思えるかどうか。実は、難易度の高い特殊パーツ工場のエースは富士大OBの方です。」と富士大生へのメッセージで講義を終了されました。
質疑応答で、「外国人労働者の受け入れをどう考えるか。どうしているか。」に対し、初めて受け入れた外国人技能実習生(ベトナムからの女性4名)の働きぶりが現場の日本人従業員に及ぼした好影響の紹介があり、同社の考え方(評価)が示された。また、「新入社員の定着率が高いが、何か工夫をしていますか。」に対して、他部署の先輩との交流制度(会社全体を知って貰う)や仕事への向き合い方・ストレス対策等を学べる機会を提供し仕事にやり甲斐を持たせる工夫を行っているとの丁寧な回答がありました。
写真1 左:鬼柳社長 右:岡田学長
写真2 授業風景
写真3 授業風景
写真4 授業風景
1. 会社概要と同社のビジネスモデル
1977年創業、花巻市に本社を置く精密金属部品の開発・加工会社で、「受託型加工業」として日本最大級の規模(売上高:70億円(2023年度実績) 連結:102億円、従業員560名)。日本・アジアに広がるネットワークで自動車工場等のFA(Factory automation)装置や半導体製造装置向け精密金属部品他を生産し、全世界を市場にしている世界企業(海外売上比率30%)。ものづくりの自動化、省人化伴うFA装置用や産業用のロボット市場、サービス医療・介護分野におけるロボット市場は有望である。同社のビジネスモデルは、超少量・超多品種生産において変種変量(顧客が欲しい製品を必要な数量だけ求められる納期で受注生産すること)・超短納期(納期順守率99%)・受注生産(作り置き在庫はしない)という独自のものである。
2. 同社の企業哲学:
この独自のビジネスモデルを支えているのが、企業哲学の浸透と哲学に適合した戦略の実践である。「哲学」とは、企業経営、事業戦略の根底にあるもので、目指すべき姿である。その目指すべき姿とは、「常に感謝の気持ちを忘れずに、従業員の物心両面での幸福を追求する。顧客や地域など全ての関係者が、我社と共に豊かになれるよう社会の公器として貢献度を高めていく」というものである。
3. 企業哲学の実践事例
その哲学の実践のために、①ハイブリッドものづくり戦略 ②顧客満足度(CS)の向上活動 ③つくり方改革(AIO版働き方改革)の推進、に力を入れている。製造業としての該社の特徴である事例の詳細説明があった。先進的、革新的なものづくりに挑戦し、競争力を向上する戦略を実践し、グローバル競争で勝ち続けられる企業となっている。従業員の物心両面での幸福を追求しており、「いわて働き方改革AWARD2023優秀賞」、「いわて健康経営事業所認定(平成6年4月)」を受けている。
4. 地域の製造業からの提言 ~ものづくり+ITで進める地方創生~
「ものづくりで進める地域創生」の中心にあるコンセプトは、「ものづくり」と「IT」の融合、いわゆる「デジタルものづくり」の推進である。マザー工場機能を持つ製造業の地方立地、物流と情報のインフラ高度化、事業の全国展開&海外進出、人材受入等を図りながら、同時にものづくり人材・IT人材の育成と定着を産学官と地域が一体となって進めていくべきとしている。2023年度から一般社団法人「アイオー精密ものづくり教育振興会」を立ち上げ新たな活動を開始している。
最後は、「製造業(アイオー精密)には(富士大学の様な)文系学部卒業の方が活躍できる仕事がたくさんあります。要はその仕事が面白い!!と継続して思えるかどうか。実は、難易度の高い特殊パーツ工場のエースは富士大OBの方です。」と富士大生へのメッセージで講義を終了されました。
質疑応答で、「外国人労働者の受け入れをどう考えるか。どうしているか。」に対し、初めて受け入れた外国人技能実習生(ベトナムからの女性4名)の働きぶりが現場の日本人従業員に及ぼした好影響の紹介があり、同社の考え方(評価)が示された。また、「新入社員の定着率が高いが、何か工夫をしていますか。」に対して、他部署の先輩との交流制度(会社全体を知って貰う)や仕事への向き合い方・ストレス対策等を学べる機会を提供し仕事にやり甲斐を持たせる工夫を行っているとの丁寧な回答がありました。
写真1 左:鬼柳社長 右:岡田学長
写真2 授業風景
写真3 授業風景
写真4 授業風景