東日本入会・山村研究会の第13回研究大会を岩手県との共催で開催しました。
お知らせ
令和6年8月30日(金)、東日本入会(いりあい)・山村研究会の第13回研究大会が富士大学・岩手県の共催、岩手県立大学の協力で下記の通り開催されました。
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☆日時:8月30(金)9:45~15:30
☆場所:岩手県民情報交流センター「アイーナ」7F岩手県立大学アイーナキャンパス学習室)
☆講演 「共有林の歴史的役割と現代化への模索 -今後の議論の礎として―」
西野寿章氏 (高崎経済大学名誉教授、同学地域科学研究所名誉研究員)
☆報告1 「生産森林組合の現状と諸問題-鳥海生産森林組合を事例に-」
及川忠之氏(鳥海生産森林組合)
☆報告Ⅱ「生産森林組合をめぐる事情」
吉川正純氏 (林野庁林政部経営課総括課長補佐)
☆討論会 会場参加者、西野氏、及川氏、吉川氏、
コーディネーター 岡田秀二学長(富士大学) 中川秀一教授(明治大学)
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西野寿章氏は、経済地理学、地域開発論が専門。地域社会(山村)での紐帯としての共有林の役割(収穫と分配によるむらおこしのインセンティブ)の研究を通し山村の持続可能な振興原理を探求しています。その実例を戦前の山村における官民一体の内発的な地域電化の実現の中にあったことを研究で明らかにしました。当日の主題は「山村の持続可能性問題」で正解はないが、考えることは必要とし、①現代林業の分析(山村と山村を分離した間伐政策)、②共有林の歴史的役割の評価(・地域電化の財源としての共有林 ・むらおこしのインセンティブとしての共有林)、③現代山村の持続性形成への視点(再エネは新しい視点から山村振興に取り組むための原資となる可能性の示唆等々)について講演がありました。
及川忠之氏は、一関市大東町旧興田村鳥海地区の、かつての集落有林が、町村合併の都度、住民の利用と権利関係に集落毎にバラエティを生み、今となっては同じ地区の住民でありながら、集落によっては関連する森林の入会権内容に差があり、今後の収益性の高い利用に支障をきたしている。この状況への対処法について、研究会参加者に問う形での事例提供でした。討論では、それらの点につき法制度と実態を踏まえ、住民理解が得られるように整合ある整理をし、今後に向けては生産森林組合が、鳥海地区住民の全体にとって平等で、統一的法人格を持つ森林経営体となり、登記を行い活動するのがよい。それには、どのように対処するのが良いのか、様々な方法について論議と意見交換が行われました。
吉川正純氏からは「生産森林組合をめぐる事情」と題し、生産森林組合の現況と課題につき下記の報告がありました。・制度概要、・組織概要、・事業内容と実施状況、・販売高/経営状況、・組織変更(解散・合併)の状況、・生産森林組合に関する問い合わせと回答、・入会林野整備の状況。また林野庁の本年度新事業の「森林のモデル実証事業」の紹介もありました。この事業は、「所有者不明森林等の特例措置」で対象地が集約化出来ないという問題が出てきたので、その解決をはかるため地域単位での意思決定の場(地域協議会設立と運営)を支援する新事業(地域内エコシステムと類似のソフト支援事業)を概算要求中という最新情報でした。
午後の討論会は、西野氏のコミュニティ形成の原理は「共通の関心を持つこと」という視点を中心に、山村再生、地域創生、森林行政をめぐる中央と地方のあり方、県の役割、国民の価値観、あるいは森林利用に関する長期的視点からの評価と可能性(再エネを活用した地域づくり等)など、多様な論点をめぐってフロアーとの間で活発な討論が行われ、あっという間の2時間で成果の多い研究会となりました。参加者は会場一杯の70名で、本学からは学生3名、教職員5名が参加。コロナ明けもあり盛況で充実した大会となりました。報告者の方々と会場参加者、大会準備と運営に協力されたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
写真1)基調講演 西野氏 写真2)報告Ⅰ 及川氏 写真3)報告Ⅱ 吉川氏
写真4)討論会 写真5)討論会 写真6)研究会参加者 (本学)
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☆日時:8月30(金)9:45~15:30
☆場所:岩手県民情報交流センター「アイーナ」7F岩手県立大学アイーナキャンパス学習室)
☆講演 「共有林の歴史的役割と現代化への模索 -今後の議論の礎として―」
西野寿章氏 (高崎経済大学名誉教授、同学地域科学研究所名誉研究員)
☆報告1 「生産森林組合の現状と諸問題-鳥海生産森林組合を事例に-」
及川忠之氏(鳥海生産森林組合)
☆報告Ⅱ「生産森林組合をめぐる事情」
吉川正純氏 (林野庁林政部経営課総括課長補佐)
☆討論会 会場参加者、西野氏、及川氏、吉川氏、
コーディネーター 岡田秀二学長(富士大学) 中川秀一教授(明治大学)
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西野寿章氏は、経済地理学、地域開発論が専門。地域社会(山村)での紐帯としての共有林の役割(収穫と分配によるむらおこしのインセンティブ)の研究を通し山村の持続可能な振興原理を探求しています。その実例を戦前の山村における官民一体の内発的な地域電化の実現の中にあったことを研究で明らかにしました。当日の主題は「山村の持続可能性問題」で正解はないが、考えることは必要とし、①現代林業の分析(山村と山村を分離した間伐政策)、②共有林の歴史的役割の評価(・地域電化の財源としての共有林 ・むらおこしのインセンティブとしての共有林)、③現代山村の持続性形成への視点(再エネは新しい視点から山村振興に取り組むための原資となる可能性の示唆等々)について講演がありました。
及川忠之氏は、一関市大東町旧興田村鳥海地区の、かつての集落有林が、町村合併の都度、住民の利用と権利関係に集落毎にバラエティを生み、今となっては同じ地区の住民でありながら、集落によっては関連する森林の入会権内容に差があり、今後の収益性の高い利用に支障をきたしている。この状況への対処法について、研究会参加者に問う形での事例提供でした。討論では、それらの点につき法制度と実態を踏まえ、住民理解が得られるように整合ある整理をし、今後に向けては生産森林組合が、鳥海地区住民の全体にとって平等で、統一的法人格を持つ森林経営体となり、登記を行い活動するのがよい。それには、どのように対処するのが良いのか、様々な方法について論議と意見交換が行われました。
吉川正純氏からは「生産森林組合をめぐる事情」と題し、生産森林組合の現況と課題につき下記の報告がありました。・制度概要、・組織概要、・事業内容と実施状況、・販売高/経営状況、・組織変更(解散・合併)の状況、・生産森林組合に関する問い合わせと回答、・入会林野整備の状況。また林野庁の本年度新事業の「森林のモデル実証事業」の紹介もありました。この事業は、「所有者不明森林等の特例措置」で対象地が集約化出来ないという問題が出てきたので、その解決をはかるため地域単位での意思決定の場(地域協議会設立と運営)を支援する新事業(地域内エコシステムと類似のソフト支援事業)を概算要求中という最新情報でした。
午後の討論会は、西野氏のコミュニティ形成の原理は「共通の関心を持つこと」という視点を中心に、山村再生、地域創生、森林行政をめぐる中央と地方のあり方、県の役割、国民の価値観、あるいは森林利用に関する長期的視点からの評価と可能性(再エネを活用した地域づくり等)など、多様な論点をめぐってフロアーとの間で活発な討論が行われ、あっという間の2時間で成果の多い研究会となりました。参加者は会場一杯の70名で、本学からは学生3名、教職員5名が参加。コロナ明けもあり盛況で充実した大会となりました。報告者の方々と会場参加者、大会準備と運営に協力されたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
写真1)基調講演 西野氏 写真2)報告Ⅰ 及川氏 写真3)報告Ⅱ 吉川氏
写真4)討論会 写真5)討論会 写真6)研究会参加者 (本学)