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新着情報

「地域創生論」の第十四回講義が行われました。

授業関係
今回は「21世紀先進国の産業と地域再生―その典型としての林業・バイオマス―」と題し、遠野バイオエナジー株式会社の梶山恵司氏が講義を行いました。
冒頭で梶山氏は「林業はチャンスであり、21世紀先進国の産業である。問題はそれをどのように現実化していくか。」と述べ、1980年代の日本は高成長だったのに対しドイツは低成長だったのが、21世紀に入ってその立場が逆転したことに触れ、その理由はドイツが林業・バイオマスの活用に大きく舵を切ったことに要因があると指摘しました。現在ドイツでは電力需要の30~40%をバイオマスなどの再生可能エネルギーで賄っているとのことです。また、日本が外国から木材を多く輸入するようになった要因として戦後の復興期に国内の木材資源を切り尽くしてしまい、次に使える木が育つまで最低60年を要するため、需要に対する国内産の供給が追いついていないことを指摘し、日本の林業のチャンスはこれからであり、「使う林業」から「育てる林業」への転換が不可欠だとの見解を示しました。
講義後半では、受講者よりバイオマスエネルギーや太陽光による発電に対し「安定的な供給」という観点からの懸念が示されると、梶山氏はドイツではバイオマスエネルギーを用いた発電所の数が豊富であることや、スペインの事例として、電力需要を1週間前から予測して発電量を各発電所にきめ細かく指示を出すことで対応し、その予測精度もかなり高いレベルを保っていることが紹介されました。
梶山氏の講義により林業・バイオマスは地域密着型の産業であることを再認識することができ、同時に中山間地域においては地域創生の大きな起爆剤となりうる未来志向的期待を持つことができました。
次回は、本年度の地域創生論の締めくくりとして、千葉茂樹氏(岩手県副知事)、上田東一氏(花巻市長)、太田代剛氏(岩手日報社報道次長)をパネラとするシンポジウム「『地域創生』の実現に向けてⅡ」を開催します。