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第12回「地域創生論」岩手県産株式会社いわて銀河プラザ店長の長澤由美子氏を講師にお迎えし講義が行われました。

授業関係
 6月28日(木)、岩手県産株式会社いわて銀河プラザ店長の長澤由美子氏を講師にお迎えし「地域創生論」第12回目の講義が行われました。テーマは「ヒット商品『Ça va?缶』の誕生」です。2013年から岩手県産株式会社の商品開発課長として「Ça va?缶(以下「サヴァ缶」と呼ぶ)」の商品開発に携わっておられたのが本日の講師である長澤由美子氏です。

 2013年9月の発売以来、現在までシリーズ累計300万缶を超えるヒット商品となった「サヴァ缶」。岩手県産株式会社はその販売元です。東北の食の復興応援をする「東の食の会」がプロデュースし、沿岸の「岩手缶詰株式会社」が製造し、地場産品の販路拡大を目的として設立された第三セクター「岩手県産株式会社」が仕入れ販売する。それぞれの得意分野を生かした形で生まれたのが「サヴァ缶」です。ちなみに「Ça va?」とはフランス語で「元気?」という意味。魚の「サバ」とフランス語「サヴァ」をかけたネーミングです。

 「サヴァ缶」はそれまでの缶詰め業界の常識を地方から打ち破った缶詰として注目されています。「味が良い」「身体に良い」「料理の幅が広い」など食品としての魅力はもちろんですが、印象的なのはそのデザイン。まるで輸入品であるかのようなカラフルなデザインは、「お洒落缶詰」という新たなカテゴリーを生み出しました。女性にうれしい魅力をもっているところにサヴァ缶の大きな特徴があります。またその高めの価格設定も他とは違います。

 商品は売れなければ意味がない。果たして「サヴァ缶」は商売として成立するのだろうか。東日本大震災後の「三陸を元気にしたい」という3者の思いのなかで、最終的に岩手県産株式会社はプライベート商品として受け入れる覚悟をします。それは1回の缶詰製造ロット数の約5万個、つまり1回の製造で約2千万円の損失を抱えるリスクを負うことを意味しています。

 長澤氏は言います。商売をしていると「決断」しなければならないことが多々ある。今回、「うちが受け入れるしかない」と覚悟を決め、商品開発に関わり販路拡大へ注力することとなるのだが、これが大きな決断だったと。幸運にもその後マスコミにも取り上げられるようなり、2017年12月には「マツコの知らない世界」というテレビ番組で取り上げられ大きなブームとなり、ヒット商品となることができました。長澤氏は、岩手県産株式会社として「サヴァ缶」から岩手県産品の新たな販路の拡大を目指すとともに、この商品開発・販路拡大のノウハウを県内メーカーと共有し企業の底上げを図っていきたいと語っておられました。

 今回の講義には経営関係のゼミナールに所属する学生たちも多く参加しておりました。質疑の時間には、商品開発にかかる時間、他社製品との差別化のための方向性、岩手のリンゴを使った商品開発の可能性等々の質問が出され、活発な質疑応答がなされました。

次回7月5日の「地域創生論」は、共同通信社盛岡支局長の半澤隆実氏を講師に迎え「欧米ではこんな地域づくりがある」というテーマで行われます。