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新着情報

第10回「地域創生論」 『グローバルで戦う地域の先進企業の哲学』が行われました

授業関係
 6月16日の講義は、株式会社アイオー精密代表取締役社長の鬼柳一宏氏を講師として開催されました。花巻市の出身で大学卒業後銀行勤務を経て、2001年に花巻に戻り市内にある同社(父親が創業の会社)に入社。2017年に代表取締役社長に就任。父君と共に会社の業態変容を成し遂げ、同社を世界的先進企業にされました。今も変容を続ける鬼柳社長の講義概要は、およそ以下の通りでした。

1. 会社概要と同社のビジネスモデル
 1977年創業、花巻市に本社を置く精密金属部品の開発・加工会社で、「受託型加工業」としては日本最大級の規模(売り上げ111億円、従業員550名)。日本・アジアに広がるグローバルな生産拠点でFA装置や半導体製造装置向け精密金属部品他を生産して、世界を舞台に事業を展開している。ものづくりの自動化、省人化に貢献するFA装置や産業用ロボット、サービス医療・介護分野におけるロボットの市場は、将来的にも有望とみている。同社のビジネスモデルは、超少量・超多品種生産において変種変量(顧客が欲しい製品を必要な数量だけ求められる納期で受注生産すること)・超短納期(納期順守率99%)・受注生産(作り置き在庫はしない)という独自のもの。
2. 同社の企業哲学:
 この変種変量・超短納期という独自のビジネスモデルを支えているのが、企業哲学の浸透と哲学に適合した戦略の実践である。「哲学」とは、企業経営、事業戦略の根底にあるもので、目指すべき姿である。同社が目指すべき姿とは、「常に感謝の気持ちを忘れずに、従業員の物心両面での幸福を追求する。顧客や地域など全ての関係者が、我社と共に豊かになれるよう社会の公器として貢献度を高めていく」というものである。
3. 企業哲学の実践
 その哲学の実践のために、①ハイブリッドものづくり戦略 ②顧客内重要度の向上活動 ③つくり方改革の推進に力を入れている。先進的、革新的なものづくりに挑戦し、競争力を向上させられる戦略を実践し、グローバル競争で勝ち続けられる企業を目指す。2017年には、第50回グットカンパニー大賞グランプリを受賞した。
4. 地域の製造業からの「地域創生」への提言~ものづくり+ITで進める地方創生~
 「ものづくりで進める地域創生」の中心にあるコンセプトは、「ものづくり」と「IT」の融合、いわゆる「デジタルものづくり」の推進である。マザー工場機能を持つ製造業の地方立地、物流と情報のインフラ高度化、事業の全国展開&海外進出、人材受入等を図りながら、同時にものづくり人材・IT人材の育成と定着を産学官と地域が一体となって進めていくべきである。

 同社の売り上げは、鬼柳社長入社後10年で倍に、その10年後の2021年には更に倍増して111億円となっています。これは同社の「しっかりとした企業哲学、独自のビジネスモデル、グローバルな経営戦略」の成果と考えられ、経営学の観点からも大変意義深い鬼柳社長のお話に、会場内の学生は熱心に耳を傾けていました。
 講義後のQ&Aでは、会場からの質問に講師から丁寧な説明がなされました。