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新着情報

フィールドワークFW「寒冷フィールドサイエンス教育研究センター」(岩手大学農学部)で林業・農業体験を実施しました。【教養演習 鈴木ゼミ、宮川ゼミ、小林ゼミ合同】

授業関係
7月13日に教養演習向け(リベラルアーツ)として地域環境資源および第一次産業(農業と林業)と経済学の結びつきを学ぶフィールドワークを行いました。

 本学では例年教養演習1年生向けは3ゼミを対象に農場/演習林体験を、3~4年生専門演習向けは遠藤ゼミ中心に牧場/演習林体験を実施しています。本年1回目の教養演習向けFWを行いました。

場 所:岩手大学農学部付属寒冷フィールドサイエンス教育研究センター 滝沢演習林、滝沢農場
日 時:7月13日(水)  2時限目~5時限目の連続演習
参加者:教養演習鈴木ゼミ、宮川ゼミ、小林ゼミの学生19名、教員4名 計23名
内 容:
滝沢演習林に到着後、山本信次教授(森林政策学・環境社会学)からミニ講義を受けました(写真1,2)。地理学・気候学的観点から、岩手(東北6県)のそれぞれの地域の第一次産業の特徴、即ち人間の営み(農林業)と自然環境との関係について講義がありました。農業と林業の違い、自然(森林)環境の遷移、第一次産業が果たしている国土保全の実態など目から鱗的なわかりやすい話が満載でした。その後は、森林浴ツアーをしながらのネイチャーガイダンスでした。現物の樹木を眺めながら、樹種の違い(杉、カラマツ、アカマツ等)、林業の時間サイクル、森林利用の地域経済効果、森林および林業の多面的機能(生物多様性/水源涵養/景観等の維持保全)等々につき、林内を散策しながらのミニ講義でした(写真3,4)。
その後、演習林の食堂で昼食。それから農場へ移動しました。
農場到着後、まずは雨の止んでいる内にということで、ブルーベリー摘み収穫作業を先行しました(写真5,6)。この演習は、摘果する実の熟度を試食で見定めが可というたいへん美味しく楽しいもので学生は大喜びでした。各自自分のお土産用のパック一杯を摘果しました。その後教室に移動して、由比進教授(野菜育種学)から野菜と農業に関するミニ講義を受けました(写真7,8)。日本で手に入る野菜の種類数、ダイコンとカブはどう違うのか、品種とは何か等をクイズをまじえながら教えて貰いました。FWの前日にNHKニュースでこの農場で開発された「イネ初冬直播き栽培」が報道されましたが、その紹介も含め、岩手大学の農場の役割を教えて貰いました。今回予定していたもうひとつの体験はトマト苗の定植作業でしたが、雨天のため室内での「ブルーベリージャム造り」に変更となりました。5班に分かれ、これまた味見付きの美味しい実習でした(写真9,10)。約1時間の作業で各班とも5~6瓶のジャムを造り、これも各自のお土産にいただけました。雨天気味の一日でしたが災い転じて福となす楽しい実習でした。

学生の感想や気付きには以下の様なものがありました。
演習林
・人と人との繋がりが森林をつくるという言葉が心に残った。自然を守るためにも人の繋がりを大切にしていきたいと思った。
・人が手入れをしないと太陽の光が当らず植物が育たないことや動物にも影響してくことがわかり、森を手入れしてくことはたいへんだと思いました。
・森に入ると鳥や蝉の鳴き声が聴けてとても癒やされました。
・岩手の地形ならではの川の流れの向きや、奥羽山系、北上山地(高地)などの特徴を知ることができた。ふだん気にしたことすらなかったのでとても印象的で勉強になった。
・東北に住んでいるのに東北の自然について知る機会がなかった。今回お話を聞けて様々ことを学ぶことが出来た。森林は人間に良い影響を沢山与えているが、人間が放置したままなのでもっと整備するべきと思った。森林が災害の防止、地球温暖化の緩和、生物多様性の保全など様々な役割を果たしていることがわかった。現在は若者の林業離れが進んでいるが自然を保つために林業の立て直しが必要と思った。
・森林の大切さを学ぶことが出来た。何かが欠けると、少しずつ自然が変化していくことがわかった。自分が豊かな生活をしていくためにも自然を大切にしたいと思った。
・演習林の立派な南部アカマツが将来的には価値がなくなる(松枯れ被害のため)のでこれから伐採予定という話しを聞いて、江戸時代からの大切な木なのにもったいないし残念だと感じた。
・あえて不伐のエリアを設けているのに驚いた。自然が自身で姿を変えていくのを観察するのは面白いと思った。自分も岩手の自然についてよく考えてみようと感じた。


農場
・ブルーベリーの収穫作業が楽しかったし、ジャム作りも楽しかった。グループで協力しながら美味しいジャムを作れたのが良かった。
・ブルーベリーの収穫で品種の違いを感じることができた。
・野菜は130も種類のあるということに驚いた。まだまだ食べたことがないものも沢山あるのでこれから食べてきたいと思った。
・ブルーベリーは見た目は一緒なのに味が全然違うものがあるのに驚いた。
・ブルーベリーの収穫はひとつひとつ手作業であった。その大変を知った。
・農業生産活動や良好な(里山)の景観は、人手を加えなければ成り立たない(維持できない)ことを実感した。
・雨水が水田に貯留されることで洪水が防止されている。雨水は、水源涵養へ寄与し、水生動物生態系を支え、また豊かな自然景観を形成する等の役割があることを認識した。

共通
・農場も演習林も日本の国土であり、その国土というのは多くの人々が環境や将来のために手を加えて保全しているということを感じた。
・自然環境の保全や文化の継承のためには、今ある自然を大切にしていくこと、そのためには環境に配慮した行動をしていきたいと思いました。
・自然環境が地域を活性化させる、独特の文化を発展させる、生命の源であるという事をFWで感じた。


写真1  教室ミニ講義      写真2 教室ミニ講義 
 

写真3 演習林内ミニ講義     写真4 演習林内ミニ講義
 

写真5 ブルーベリー摘み     写真6 ブルーベリー摘み
 

写真7 ジャムつくり       写真8  ジャムつくり