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第10回「地域活性化論」 『花巻市役所の脱炭素に向けた取組』と『森の電力(株)の地域脱炭素への取組』が行われました

授業関係
 11月24日、花巻市市民生活部生活環境課主任の西尾陽子氏と森の電力㈱代表取締役の久保好孝氏を講師としてお迎えし「脱炭素への取組み」についてお話しいただきました。

 西尾主任は名古屋市出身で、宮澤賢治が好きすぎて(賢治の故郷をたびたび訪れるうちに花巻が好きになり)2019年に花巻市役所に転職し移住した方です。こういう就職の仕方に、多くの学生が関心を示しました(レスポンスカードから)。

 西尾氏の講義は、「生活環境課の紹介」、「地球温暖化に対する日本の動き」、「花巻市の取組―花巻市役所地球温暖化対策実行計画第3期(2021年3月策定/2021~2030年度の10年間)」についてでした。この計画で花巻市は、事務・事業を行う全ての市の組織や施設で燃料と電気を使用する際に発生する二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量削減に努めています。これまで(第1期/2009年策定、第2期/2016年策定)の実績とこれから第3期の目標等につき、わかり易い解説がありました。第3期の最終年度(2030年度)の目標は-40%削減(2013年度比)です。これまで12年間をかけ-26.8%(2021年度実績値)までになっていますので、残り9年間で更に-13.2%の削減を目指します。取組み事例として、市内全ての小学校、中学校の契約電力事業者を、東北電力から花巻銀河パワー(花巻バイオマス発電所の売電部門)に変更することで、利用電力の二酸化炭素排出係数を大幅にダウンできるとの解説があり、木質バイオマス発電の効用の具体的事例が示されました。市は施設のLED照明への更新も進めており、本年3月には街路灯の大部分をLED化しました。西尾氏は、今後の達成に向けた取組みについて紹介をされた後、宮澤賢治「ポラーノの広場」の一節『ぼくはきっとできるとおもう。なぜならぼくらがそれをいまかんがえているのだから。』という感動的な言葉をもって、講義を締め括られました。

 授業後半は、久保氏から「バイオマス電力供給の仕組み」、「バイオマス電力事業の意義」、「森の電力(株)の関わる全国のバイオマス発電所紹介」、「同社による富士大学へのバイオマス電力の供給実績」等について講義をいただきました。バイオマス電力事業(電力小売り)は林業の6次産業化に結びつき、脱炭素にも寄与しているとの解説がありました。本学は、同社からのバイオマス電力で年間375tのCO2発生量を削減(ちなみに花巻市役所の2021年度の総排出量は年間1312tです)しています。これまでの6年間で約2250tのCO2削減に貢献しており、富士大学は再エネ電力の地産地消によるエコキャンパスの運営を行っていると紹介されました。続いて、新たな取組としてバイオマスボイラーによる熱供給事業((株)岩手ウッドパワーESCO事業による富士大学学生寮への熱供給)の説明がありました。バイオマス発電では、木が持つエネルギーの25-30%程度しか電力になりませんが、熱利用では80-90%が熱(湯)に変換できそれを利用できます。熱利用の方がCO2の排出削減効果大です。それを世に問いかけたいとのお話しでした。この事業は、本学がプラットフォーム役で進めている「花巻市および周辺地域内エコシステムモデル構築事業」の産学連携で実現したものです(参考URL:http://www.fuji-u.ac.jp/news/53536)。
 最後に、「次世代を担う若者達に知っておいてもらいたいこと」として、デジタル化/DX社会/SNSの一層の進展によるデーターセンターの大電力消費問題、太陽光発電のあるべき姿、再エネのライフサイクルやサプライチェーン、環境アピール(グリーンウオッシュ)、CO2吸収源としての森林の価値、カーボンプライシング等について学生への情報喚起で講義を結ばれました。

 講義終了後は、地域連携推進センター主催の「地域活性化論研究会」を開催。西尾主任、久保社長、本学教職員3人、学生1人の参加で、授業振り返り、情報交換、意見交換を行いました。

写真1 左から 久保社長、西尾主任、遠藤教授


写真2  授業風景  西尾主任


写真3  授業風景 久保社長


写真4  授業風景


写真5 地域活性化論研究会